雪泥流
雪泥流（せつでいりゅう）について
雪泥流とは、雪崩から派生した大量の水を含む土砂の流れで、特に山間部の斜面から渓流へと流れ出る現象を指します。この流れは、渓岸や川底に堆積した土砂を浸食し、土石流の形態をとります。
雪泥流の発生条件
雪泥流は、湿気を含む雪が降る地域や、常に雪が残る山頂部において、特に集中豪雨などの気象条件に影響されて発生しやすくなります。たとえば、普段は水が流れない涸沢の上流部分で雪河流が発生すると、土砂災害に対する備えが不足しているため、状況が悪化しやすいのです。
また、冬期でも水を湛える川においては、温暖化などによって雪氷が溶け出し、狭い川の部分に雪が詰まることがあります。これが天然ダム、すなわちアイスジャムを形成し、その後決壊することで雪泥流が発生することもあります。
富士山における雪泥流
日本の雪泥流で特に注目されるのは、富士山で発生するものです。富士山での大規模な雪泥流は「雪代（ゆきしろ）」とも呼ばれ、標高3000メートルを超える斜面から流れ下ることもあります。これにより、非常に大きな土砂が流出する場合があります。
富士山の南西斜面では、土砂災害に対する対策が施されており、砂防事業が行われています。しかし、それでもなお雪泥流のリスクは残っています。
歴史的事例
1. 1834年6月22日（天保5年5月16日）、富士山で発生した雪泥流は、富士北麓の富士吉田市と南麓の富士宮市に大量の土砂を流出させ、大きな被害をもたらしました。
2. 1945年3月23日未明、青森県の赤石川で発生した雪泥流は、鉄砲水によるもので、87名もの死者を出すという大惨事となりました。
3. 2018年3月5日には、富士山の須走口斜面（標高2300メートル付近）で発生したスラッシュ雪崩が、土石流となってふじあざみラインを寸断し、同地点にいた陸上自衛隊の作業員2名が死亡する事故が発生しました。この土石流はさらには東富士五湖道路の須走インターチェンジにまで及びました。
まとめ
雪泥流は、特に山岳地域での急激な天候変動により引き起こされる危険な現象です。これに備えるためには、適切な準備と理解が必要です。土石流や天然ダムについての情報を事前に確認し、適切な行動を取ることで、自身の安全を守ることが重要です。
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