雲のじゅうたん

『雲のじゅうたん』

『雲のじゅうたん』は、1976年4月から10月にかけて放送されたNHK連続テレビ小説の第17作です。この作品は、浅茅陽子が演じるヒロイン真琴を中心に、大正から昭和時代にかけて、女性が飛行士という夢に挑む姿を描いています。本作は、秋田県を主な舞台とした初の作品でもあり、地域の文化や情景を背景にしたストーリー展開が特徴的です。

概要

主人公真琴は、飛行家を目指す若い女性。この物語においては、時代背景とともに女性の地位向上と夢の実現をテーマにしています。真琴の父親役を演じた中条静夫は、その頑固な性格からのストーリーの緊張感を生み出し、観客からの人気を集めました。さらに、ナレーションを担当した田中絹代は、総集編の収録を終えた後、入院し、放送終了の翌年に他界しました。

このドラマは、放送中に40.1%の平均視聴率を記録し、最高視聴率は48.7%に達しました。また、放送後の1976年12月には、全10回の45分総集編が放送され、再び多くの視聴者の関心を集めました。『雲のじゅうたん』は、民放で再放送された初のNHKドラマであり、国際映画社を介しての販売契約が成立したことも話題になりました。

再放送とメディア展開

この作品は、1999年から2000年にかけてNHK BS2で再放送されたほか、2001年には全5巻のVHSが発売されました。現在も各地のNHKアーカイブスで総集編の視聴が可能ですが、完全版やDVDは未だに販売されていません。放送ライブラリーでは、第1回のエピソードが公開されています。また、テーマ曲は2006年にリリースされたCDに収録されています。

キャストとスタッフ

主演の真琴役を演じた浅茅陽子以外にも、豊富なキャストが作品を彩ります。特に、彼女の家族役として中条静夫らが名を連ね、さまざまな人間関係が物語の中で複雑に描かれています。

本作の脚本を務めたのは田向正健で、音楽は坂田晃一が担当しました。主題歌「あの空へ帰ろう」を歌ったチェリッシュの歌声は、ドラマ全体のトーンを決定付ける重要な要素です。

モデルと影響

『雲のじゅうたん』は、多くの初期女性飛行士にインスパイアされた作品とも言われていますが、脚本の田向は特定の人物をモデルにしていないことを強調しています。ただし、放送当時には多くの視聴者が実在の女性飛行士たちと真琴を結びつけ、関心を示しました。

また、劇中で使用された複葉機「利根号」は、木村秀政によって設計され、その存在感を際立たせました。さらには、作品内で使用された方言の影響から、「へばちゃん」と呼ばれる名も広まり、主人公への親しみを育みました。こうした要素が加わることで、『雲のじゅうたん』は日本のテレビドラマ史の中で特別な位置を占める作品となりました。

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