雲鷹丸

雲鷹丸（うんようまる）

雲鷹丸は日本における歴史的な帆船で、主に漁業練習船及び漁業調査船としての役割を果たしました。この3本マストの船は、1909年に大阪鉄工所桜島造船所で建造され、1929年までの20年間に36回の航海を行い、漁業に関する多くの実習や調査を行いました。特に捕鯨実習や漁業技術・漁具開発において大きな貢献を果たし、船上ではカニ缶詰の製造にも成功しました。これにより、雲鷹丸は後に大型蟹工船の先駆けとされています。

歴史

雲鷹丸は東京水産大学の前身である農商務省水産講習所の初代練習船の難破を受けて建造されました。米国式遠洋捕鯨船であるバーク型帆船のスタイルを取り入れ、南北の海で36次にわたる航海を重ねました。この中にはカムチャッカ漁場の開発や、蟹工船事業の推進が含まれています。また、1923年には関東大震災の際に月島三号岸壁で停泊していた雲鷹丸が、漂流する焼船から市民500人を救助するという英雄的な活動を行いました。

1945年には一時引退し、個所の補修改造を受けた後、操帆訓練船へと再利用されることになります。この訓練は戦時中も続けられました。1962年には現在の東京海洋大学品川キャンパスに移設され、1970年を経て復元整備が行われ、1998年には国の登録有形文化財として認定されました。

特徴

雲鷹丸は、建造当時のパーク型米国式捕鯨船のスタイルを持ち、この型の船として現存するのは唯一の存在です。また、日本で造られた鋼製船舶の中では最も古いものの一つとされています。周辺には交通機関も整っており、羽田モノレールや首都高速道路からも容易に見ることができます。特に、近くの遊歩道からはその姿を眺めることができます。

平成の大改修

雲鷹丸は、その美しい外観を保つための修復工事が行われてきましたが、1995年以降の確認点検で劣化が進んでいることが分かりました。そのため、2012年から2014年にかけて、東京海洋大学が修復費用の募金活動を実施しました。

アクセス

雲鷹丸は東京海洋大学品川キャンパスの南東部、天王洲運河の近くに位置しています。最寄りの交通機関である羽田モノレールの天王洲アイル駅からは、徒歩で約5分の距離にあり、運河沿いの遊歩道からもその姿を観賞することができます。また、JR品川駅からも徒歩でアクセス可能ですが、船内への立ち入りは傷みのため禁止されています。

このように、雲鷹丸は単なる歴史的な船舶以上の存在であり、日本の漁業や海洋学における重要な資産であることは間違いありません。

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