零八憲章

零八憲章：中国の民主化を求める声

零八憲章（れいはちけんしょう）は、2008年12月9日に中国の作家であり人権活動家であった劉暁波（りゅう・ぎょうは）氏ら303名の有識者が連名で発表した、中国の政治・社会体制改革を求める宣言文です。

この憲章は、中国共産党による一党独裁体制の終結、三権分立の確立、民主化の推進、そして人権状況の改善を主な目標として掲げています。当時の中国では、憲法で保障されているはずの言論の自由や集会・デモの自由が事実上制限されており、党の方針に合わない思想や意見を持つ人々に対する弾圧が横行していました。

このような状況下で、零八憲章は、中国の立憲100周年、「世界人権宣言」発表60周年、「民主の壁」誕生30周年、そして中国政府が「市民的及び政治的権利に関する国際規約」を締結して10周年の節目に、中国の将来を憂う知識人たちが立ち上がり、民主化への強い意志を示したものです。

憲章の内容

零八憲章は、「前言」「我々の基本理念」「我々の基本主張」「結び」の4つの部分から構成されています。

前言：当時の中国を「党の天下」と表現し、中国共産党が政治、経済、社会の資源を独占し、過去の過ちによって国民が大きな代償を払ったと批判しています。
基本理念：以下の6つの理念を掲げています。
自由：言論、出版、信仰、集会、結社、移動、ストライキやデモ示威等の自由
人権：人は国家の主体であり、国家は人民に奉仕し、政府は人民のために存在
平等：すべての公民は、社会的地位、職業、性別、経済的状況、種族、皮膚の色、宗教や政治思想にかかわらず、その人格、尊厳、自由において平等
共和：皆による自治と平和な共生、分権制と利益のバランスを追求
民主：主権は国民にあり、国民が選んだ政府によって行使される
憲政：法治によって政府権力を制限し、その権力の境界を明確に定める
基本主張：基本理念に基づいて、以下の19の主張をしています。
憲法改正
三権分立
立法府の民主化（直接選挙の導入）
司法の独立
軍の国家化（人民解放軍を国軍とする）
人権保障
公職選挙の導入
都市と地方の平等
結社の自由
集会の自由
言論の自由
宗教の自由
公民教育
財産保護
税制改革
社会保障の充実
環境保護
連邦共和制度の導入（香港、マカオの自由保護）
過去の過ちに対する正義の実現（名誉回復など）

署名者

最初の署名者は303名であり、人権活動家、学者、作家、法律家、ジャーナリストなど、各分野の著名な知識人が含まれていました。著名な署名者には、鮑彤、戴晴、丁子霖、劉軍寧、茅于軾、浦志強、冉雲飛などがいます。

その後、多くの人々がこの憲章に賛同し、署名者は最終的に1万人を超えました。

影響

零八憲章は、発表と同時に大きな反響を呼びましたが、中国政府は直ちにインターネット上の関連サイトを閉鎖し、言論統制を強化しました。しかし、多くの人々がこの憲章のコピーを転載し続け、その内容は世界中に広まりました。

憲章の起草者である劉暁波氏は、発表前日に拘束され、2009年には国家政権転覆扇動罪で懲役11年の判決を受けました。しかし、服役中の2010年にノーベル平和賞を受賞し、その功績が世界的に認められました。

零八憲章は、中国の民主化を求める人々の間で、今なお重要な意義を持つ宣言文として記憶されています。

関連項目

憲章77
中国民主化運動
中華連邦主義
浦志強
* 賀衛方

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