零式 (ゲーム)

『零式』（タイプゼロ）は、1997年12月18日にアリスソフトから発売されたアダルトゲーム『アリスの館4・5・6』に収録されたロールプレイングゲームです。後に単体での廉価版も発売されました。本作は、乱数に頼らない徹底的なやり込み要素が特徴で、単にラスボスを倒すだけでは真のエンディングにはたどり着けません。ダンジョン攻略と並行して、様々なイベントをこなす必要があり、緻密に計算されたゲームシステムがプレイヤーを魅了します。

開発経緯

当初、『零式』はアリスソフトの次期主力作品として開発されており、『闘神都市』のような闘技大会を題材とした、複数の主人公を選択できるシステムが検討されていました。しかし、キャラクターを変えるだけではプレイヤーが飽きる可能性が指摘され、最終的には1キャラクターに焦点を絞ったシナリオが作成されました。この結果、本作はファンディスク『ALICEの館4・5・6』に収録されることとなりました。

また、1992年に発売された『DALK』のヒントディスクには同名の作品が収録されており、システム的にはこちらがベースとなっていますが、ストーリーや内容は全く異なります。主人公の鳳あかねと姉のなおみは、後に『ままにょにょ』にもゲスト出演しています。

ストーリー

物語の舞台は、前大戦の負の遺産である対人自動兵器生成施設「テナント」が存在する世界。各地で、テナント破壊を競い合う「チャリオットフェスタ」が開催されています。主人公の鳳あかねは、行方不明の父親を探すため、この大会に出場します。しかし、彼女の過去には多くの苦難があり、それが彼女の歪んだ性格を形成しています。

主要登場キャラクター

鳳 あかね（おおとり あかね）
本作の主人公。過去の経験から、父親以外の大人を全く信用しておらず、歪んだ性格になってしまっています。チャリオットフェスタを通じて父親を探そうとしています。搭乗機は新霞天都技研社製の「零式戦闘機」。
鳳 なおみ（おおとり なおみ）
あかねの双子の姉妹。容姿や言動はあかねとほぼ同じですが、あかねの方が若干強気な性格です。服装の色を変えることで区別されています。搭乗機はあかねと同じ「零式戦闘機」。
グァン・ファン・ユーリィ
あかねとなおみの父親と同じ部隊に所属していた軍人。鳳大佐から姉妹の保護を託されますが、あかね達からは信用してもらえず苦悩しています。
黒葉 ひより（くろは ひより）
チャリオットフェスタの筆頭優勝候補。容姿端麗で裕福な家庭に育ち、高い才能を持っていますが、高慢で勝ち気な性格です。搭乗機は「LipOnLip」。
ジョルジュ・ステバン
ロイドの父親で、元凄腕パイロット。戦場で負傷し、引退していましたが、息子のためにチャリオットフェスタへの参加を決意します。搭乗機は「ノイズアクトマン」。
ロイド・ステバン
ジョルジュの息子。なおみと親しくなります。
柊 絵理華（ひいらぎ えりか）
チャリオットフェスタの参加者。優勝よりもオーガコアの入手を目的としています。搭乗機は「GR-FIELD」。
荒本 四郎（あらもと しろう）
恋人の千草がチャリオットフェスタに参加すると知り、急遽出場を決めた男。普段は乱暴な言葉遣いをしますが、内心では千草のことを大切に思っています。搭乗機は「嶺欄-皇壬撃」。
加賀原 千草（かがはら ちぐさ）
四郎の恋人。戦闘機マニアで、チャリオットフェスタに参加しています。搭乗機は「嶺蘭DF」。
大前田 正隆（おおまえだ まさたか）
アイドルオタクでロリコン。あかねやなおみに一方的な好意を抱き、しつこく接してきます。搭乗機は「陣風」。
藤木 空子（ふじき くうこ）
チャリオットフェスタ専門のジャーナリスト。
電田 殻（でんだ たけし）
芸能プロダクション「ユキチプロ」の社長。あかねとなおみに目をつけ、大会中に接近してきます。
シュリ・セイハジュウ・ナガサキ
チャリオットフェスタの受付担当。同姓同名のキャラクターが『闘神都市』シリーズに登場しますが、別人です。
鳳大佐
あかねとなおみの父親。優秀な軍人でしたが、味方を逃がすために単身で戦い、行方不明になっています。
ホージ
鳳大佐が雇っていたメイド。給料が支払われなくなるとすぐに辞めてしまいました。

スタッフ

シナリオ：TADA、ちみろいむ
キャラクターデザイン・原画：MIN-NARAKEN
メカ原画：桐島千夜
背景：ムネQ
音楽：Shade

本作は、魅力的なキャラクターと重厚なストーリー、そして緻密に計算されたゲームシステムが特徴です。やり込み要素も豊富で、長期間にわたって楽しめる作品です。

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