電力館

電力館の歴史と役割

電力館（でんりょくかん）は、東京電力の子会社、東電ピーアールが運営していた企業博物館で、科学館としての側面を持ち、エネルギーや発電に関する情報を広める役割を果たしていました。1984年11月に東京都渋谷区神南に開館し、様々なエネルギーに関する展示を通じて来館者が楽しみながら学べる場所を提供していました。しかし、2011年5月31日をもって閉館しました。

特徴的な施設と展示

電力館は、渋谷のファイヤー通り沿いに位置し、独特なデザインの建物が特徴でした。館内では、省エネ家電の紹介コーナーや、原子力発電を解説する模型が展示されるなど、わかりやすくエネルギーに関する知識を発信していました。また、企画展も多数開催されており、訪れる人々に日本の電力史や最新のエネルギー技術について学ぶ機会を提供していました。

2010年には大規模な改装が予定され、リニューアル後の新たなコンセプトが発表されました。改装は「電気を『大切につくる』『大切につなぐ』『大切につかう』」というテーマのもと、次世代を担う子供たちや一般市民を対象に、環境問題や地球の未来について考える場となることを目指していました。新たな展示は、CO2の削減や再生可能エネルギーに関する技術を広める内容が盛り込まれる予定でした。

東日本大震災の影響

リニューアルの準備が進む中、2011年3月11日に発生した東日本大震災により、開館準備が延期され、最終的には全館が休館となりました。この震災は東京電力にとって重大な影響をもたらし、福島第一原子力発電所での事故も起こったため、同年5月31日に電力館は閉館を決定しました。閉館後、運営を行っていた東電ピーアール株式会社も清算されることになりました。

閉館後の利用状況

閉館後は、建物の売却が検討されましたが、建物の地下には渋谷地区の電力供給を担う変電所があったため、売却は断念されました。その後、東京電力は建物を解体せずにシダックスに貸し出し、カラオケボックス「渋谷シダックスホール」として利用されることになりました。2013年には「シダックスカルチャービレッジ」と名称を改め、カルチャースクールやフィットネス、貸し会議室等の運営が行われています。さらに、2016年にはインターネットラジオ局である渋谷クロスFMが移転してきました。

歴史の一環としての電力館

電力館が存在した場所は、かつて渋谷区役所庁舎があった地域でもあり、1936年から1965年までの歴史的な背景を持っています。地域の電力博物館としての役割を果たした電力館は、その閉館をもって一時代の区切りを迎えましたが、地域の電力供給の重要な拠点としての役割は今後も続くことでしょう。電力館は、エネルギー供給の重要性やその理解を深めるための貴重な場所でした。

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