電弱相互作用

電弱相互作用：電磁気力と弱い力の統一

電弱相互作用は、素粒子物理学において、電磁気力と弱い相互作用という、一見異なる二つの力を統一的に記述する理論です。この理論は、物理学の標準模型の基礎をなしており、素粒子の性質や相互作用を理解する上で不可欠な概念となっています。

電弱統一理論の概要

電弱相互作用は、数学的にはゲージ群 SU(2)×U(1) によって記述されます。このゲージ群に対応するゲージ粒子は、電磁相互作用を媒介する光子（フォトン）と、弱い相互作用を媒介するウィークボソン（WボソンとZボソン）です。電弱統一理論では、これらの粒子がより根源的な相互作用の現れとして統一的に扱われます。

ヒッグス機構と質量の起源

標準模型において、ヒッグス機構は非常に重要な役割を果たします。ヒッグス機構は、SU(2)×U(1)Y ゲージ対称性が自発的に破れ、電磁相互作用の U(1)EM 対称性のみが残る現象を説明します。この対称性の破れによって、ウィークボソンは質量を獲得し、弱い相互作用が短距離力となる理由が説明されます。また、ヒッグス機構は、フェルミオン（クォークやレプトン）が質量を獲得するメカニズムも提供します。

ここで、添字は異なる U(1) であることを表しており、U(1)EM の生成子は Q=T3+Y で表されます。Y は U(1)Y の生成子（ウィークハイパーチャージと呼ばれる）で、T3 は SU(2) の生成子（ウィークアイソスピンと呼ばれる）の内の1つです。

理論のパラメータ

電弱相互作用の理論には、いくつかの重要なパラメータが含まれています。

それぞれのゲージ群に対応する結合定数 g, g'
ヒッグスポテンシャル項に含まれるパラメータ v, λ
湯川相互作用の結合定数 ye, yd, yu

これらのパラメータは、実験によって決定される必要があり、素粒子の質量や相互作用の強さを決定する上で重要な役割を果たします。

また、2つのゲージ結合定数の比を tanθw=g'/g としたとき、θwをワインバーグ角と呼びます。ワインバーグ角は、電弱相互作用の構造を特徴づける重要なパラメータであり、実験的に精密に測定されています。e=g sinθw は電磁相互作用の結合定数（即ち素電荷）です。

まとめ

電弱相互作用は、電磁気力と弱い相互作用を統一的に記述する、素粒子物理学の重要な概念です。ヒッグス機構を通じて素粒子の質量起源を説明し、標準模型の基礎をなしています。電弱相互作用の研究は、素粒子の性質や宇宙の根源的な謎を解き明かす上で、不可欠な役割を果たしています。

関連項目

素粒子物理学
* ワインバーグ＝サラム理論

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