電気双極子

電気双極子について

電気双極子（でんきそうきょくし）は、同じ大きさの正と負の電荷が非常に近い距離で対になって存在する現象を指します。この双極子は、位置 r における正の電荷と負の電荷の位置をそれぞれ r+ と r− とし、その間の距離の差を無限小の極限で考えます。電気双極子の強さは、双極子モーメントとして知られ、デバイという単位で表現されます。

電気双極子による場

電気双極子が生み出す電場は、電荷密度の分布に関連しています。位置 r における電気双極子 p による電荷密度は、数式で表すことができます。また、複数の電気双極子 pi が異なる位置 ri に分布している場合、重ね合わせの原理を用いることで、全体の電場を計算することができます。

具体的には、電荷密度 ρ を用いて畳み込みによって場を表現することが可能です。特に、電気双極子が有限の領域に存在する場合、境界条件を無視できるため、簡単な形で表されます。このような電気双極子による静電ポテンシャルは、特定の数式で表現されます。

電気双極モーメント

電気双極モーメントは、電荷密度 ρ に基づいて定義される1次モーメントです。具体的には、点電荷が集まっている場合、電気双極モーメントは特定の計算式で求められます。もし電荷分布が全体として中性である場合、電気双極モーメントは一定のベクトルとして表され、位置に依存しません。このような条件下では、電気双極子の強さは特定の数式で表現されます。

電気双極モーメントは、多重極展開の中で原点付近に存在する電荷の分布を近似するための重要な指標です。特に、電荷の総和がゼロのとき、電気双極子はその総和で表現され、第一近似として利用されます。

電気双極子の実体

電気双極子は、実際には電子と原子核の結合によって形成される原子や、原子同士の結合によって作られる分子に具体的に現れます。例えば、水分子では、酸素原子が電子を引き付け、その分子形状が曲がっているため、負の電荷が酸素原子に、正の電荷が水素原子に偏った双極子と見なすことができます。これらの分子は、外部からの電場が作用しない状態でも自身の電気双極子を持ち、このような双極子は「永久双極子」と呼ばれています。

さらに、原子や分子が外部電場 E の影響を受けると、電荷の偏りが生じて電気双極子が誘起されます。このとき発生する電気双極子は「誘起双極子」として知られます。外部電場によって誘起される電気双極子の値は、係数αを用いて表現され、この係数は「分極率」として知られています。

出典

この知識は、J.D.ジャクソン著『電磁気学（上）』（吉岡書店、2002年）を参考にしています。

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