電車学園モハモハ組

電車学園モハモハ組：魅力あふれる鉄道擬人化漫画の世界

2006年12月号から月刊誌「ドラゴンエイジ」で連載が開始された『電車学園モハモハ組』。恵知仁氏によるこの作品は、鉄道車両を擬人化したキャラクターたちが織りなす、ユーモラスで心温まる物語です。当初は短期連載の予定でしたが、予想をはるかに超える人気を博し、連載期間が延長されました。商業作品として史上初の鉄道擬人化漫画という点でも、その歴史的意義は特筆に値します。

物語の中心：個性豊かなキャラクターたち

物語の中心となるのは、秋田新幹線E3系「こまち」を擬人化した主人公・秋田こまち。読書好きで図書委員を務める彼女は、明るく優しい性格で、仲間たちとの学校生活を彩ります。彼女を取り巻く個性豊かなキャラクターたちは、それぞれが実在する鉄道車両をモチーフとしており、それぞれの個性と魅力が丁寧に描かれています。

JR東日本253系「成田エクスプレス」をモチーフとしたエリーゼ成田（本名：成田空子）は、こまちの同級生。クールで少し気難しい性格ですが、フランス文化をこよなく愛する一面も持ち合わせています。古典が苦手な彼女は、放課後こまめに補習を受けている様子も描かれています。

JR東日本255系電車「さざなみ」をモチーフとした館山さざなみは、明るくしっかり者で、エリーゼとは幼なじみ。東北新幹線E2系1000番台「はやて」をモチーフとした陸奥はやては、電車学園の生徒会長を務める優秀な生徒で、こまちとは幼なじみという設定です。

その他にも、東北新幹線E954形高速試験車ファステック360Sをモチーフとしたファステック、事業用485系0番台訓練車をモチーフとした勝田教子先生、クモル145形配給電車をモチーフとした大井くもる氏など、個性豊かなキャラクターたちが物語を盛り上げます。夜間クラスには、国鉄583系電車をモチーフとした東月光先生、JR東日本E26系客車カシオペアをモチーフとした星北カシオペア、24系客車北斗星をモチーフとした北斗星碧海などが登場し、物語にさらなる深みを与えています。2007年11月号には、JR東日本のEast iをモチーフとした東あいも登場しました。

鉄道への愛情が詰まった作品

この作品の魅力は、単に鉄道車両を擬人化しただけではない点にあります。各キャラクターの個性や設定は、それぞれの車両の特徴や歴史を巧みに反映しており、鉄道ファンならずとも楽しめる要素が満載です。さらに、作品中には様々な鉄道ネタが散りばめられており、鉄道ファンにとってはニヤリとさせられる場面も数多く存在します。

また、1話完結型の構成となっているため、気軽に読める点も大きな魅力です。ただし、以前の掲載作品では、数話程度の短編で構成されているものもあり、物語の展開も多彩です。2007年11月号に掲載された最終話は1話のみでしたが、それまでの物語が丁寧に描かれ、読者に深い満足感を与えました。

東日本旅客鉄道株式会社から商品化の許諾を得ているという点も、この作品がいかに高く評価されているかを示す証拠と言えるでしょう。登場人物たちの学校生活を通して、鉄道の魅力を再発見できる、そんな魅力あふれる作品です。

アニメ化と更なる展開

2007年10月には、NHK衛星放送「熱中時間・鉄分補給スペシャル2」で、エリーゼ成田を主人公とした簡易アニメが紹介され、平山あやさんが声を担当しました。このアニメーションは、作品の世界観をさらに広げ、より多くの視聴者にアピールするきっかけとなりました。

秋田こまちも、2007年8月には銚子電気鉄道がリリースしたDVD「銚子電鉄を知っていますか？」に出演し、銚子電気鉄道の所属機関車「デキ3」の擬人化キャラクターとともに進行役を務めるなど、作品の世界観は漫画の枠を超え広がりを見せています。

『電車学園モハモハ組』は、鉄道への愛情とユーモアが詰まった、唯一無二の作品と言えるでしょう。個性豊かなキャラクターたちと、心温まる物語は、これからも多くの読者を魅了し続けることでしょう。

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