需要率

需要率（じゅようりつ）とは、電気設備が持つ全体の能力、すなわち設置されている電気機器の定格容量を合計した値に対して、実際に使用された電力の最大値がどれくらいの割合を占めるかを示す指標です。この比率は百分率（パーセント）で表されます。

具体的には、以下の計算式によって算出されます。


需要率 = (最大需要電力 ÷ 設備容量の合計) × 100


ここでいう「設備容量の合計」とは、その施設に設置されている全ての電気機器（モーター、照明、空調など）の定格消費電力を単純に足し合わせた値です。一方、「最大需要電力」とは、ある一定の期間内（例えば15分間や30分間などの平均値として計測されることが多い）において、実際に計測された電力使用量の中で最も高かった値を示します。

一般的に、電気を使用する場所では、設置されている全ての電気機器を同時に、かつ定格容量いっぱいの状態で使用することは稀です。例えば、オフィスビルであれば全ての照明やOA機器、空調が同時にフル稼働することは通常ありませんし、家庭であれば全ての家電製品を同時に最大出力で使用し続けることは考えにくいでしょう。そのため、実際に計測される最大需要電力は、設備の総容量よりも小さくなることがほとんどです。

この性質から、需要率は通常100パーセントを下回る値となります。もし需要率が100パーセントを超える場合は、設備の総容量を超える電力が実際に使用されたことを意味しますが、これは設備の過負荷や容量不足を示唆する異常な状態と言えます。一般的な電灯需要家（家庭や小規模オフィスなど）における需要率は、設備の使用状況が多様であるため、およそ50パーセントから75パーセント程度の範囲に収まることが多いとされています。

需要率を理解するための具体的な計算例を見てみましょう。ある施設に、定格容量がそれぞれ100キロワット(kW)、200キロワット(kW)、300キロワット(kW)の電気機器が設置されているとします。この施設の設備容量の合計は、これらの値を単純に合計して計算されます。


設備容量の合計 = 100 kW + 200 kW + 300 kW = 600 kW


そして、ある期間において計測された最大需要電力が400キロワット(kW)だったとします。この場合の需要率は、上記の計算式にこれらの値を代入して算出します。


需要率 = (最大需要電力 ÷ 設備容量の合計) × 100
需要率 = (400 kW ÷ 600 kW) × 100
需要率 = (2/3) × 100
需要率 ≈ 66.7 %


この計算結果である66.7パーセントという値は、この施設に設置されている電気設備全体の能力（600 kW）に対して、実際に最も多くの電力が使用されたピーク時（400 kW）の負荷が、その総能力の約66.7パーセントであったことを意味します。

需要率は、電力会社との契約容量を検討する際や、変圧器などの電気設備の容量を適切に設計・選定する上で重要な指標となります。また、エネルギー管理においても、設備の利用効率を評価する基本的なデータの一つとなります。

需要率に関連する他の指標として、複数の需要家の最大需要電力が同時に発生する確率を表す「不等率」や、ある期間の平均電力と最大需要電力の比率である「負荷率」などがあります。これらの指標と合わせて分析することで、より詳細な電力使用状況の把握が可能になります。

需要率は、設置された電気設備全体の能力に対する実際の最大負荷の割合を示すことで、設備の過不足や利用状況の効率性を評価するための基本的な指標と言えます。

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