霍元甲

霍元甲（かく げんこう）

霍元甲（Huo Yuanjia、ホ・ユェンジャア、1868年1月18日 - 1910年9月14日）は、清朝末期に活躍した中国の武術家です。字は俊卿といい、秘宗拳（別名：燕青拳、迷蹤芸）の達人としてその名を馳せました。

生い立ちと武術の道

霍元甲は、中国直隷省静海県（現在の天津市付近）の武術家の家系に生まれました。霍家七世にあたります。幼少の頃は病弱で非力だったため、父親は彼に武術を教えることをためらっていました。しかし、霍元甲は父や兄の武術練習をこっそりと見学し、独学で武術の基礎を築きました。

24歳の時、地元の武術家を打ち負かしたことで、父親に武術の才能を認められ、家伝の秘宗拳を正式に伝授されました。この秘宗拳は、彼の代で広く知られることとなりました。

上海での活躍と精武体操学校の創設

1909年、霍元甲は上海に渡り、上海精武体操学校（後の上海精武体育会）を創設しました。この学校は、武術の普及と青少年の育成を目的としており、多くの武術家を育成しました。また、彼は上海の静安寺路で公開試合を行い、見事勝利を収めました。

陳公哲の記録によると、当時の霍元甲は弁髪を結び、身長約170数cm、体重約90kgであったとされています。この試合は、元々西洋人レスラーが挑戦者を募ったことが発端でしたが、実際には霍元甲と対戦する予定だった西洋人レスラーは既に上海を離れており、試合は行われませんでした。

毒殺説と真実

霍元甲が日本人武術家に勝利したことで怨みを買い、毒殺されたという説が広く知られていますが、これは事実ではありません。彼の親族や弟子の証言によれば、彼は持病の肝硬変によって亡くなったとされています。霍元甲は生来肝臓を患っており、「黄面虎」と呼ばれていたことも知られています。

毒殺説は、小説や映画などのフィクションが広めたものであり、事実とは異なります。霍元甲と共に上海精武体操学校の創設に関わった陳公哲の回想録『精武会50年』には、日本人との友好試合で、霍元甲の対戦相手が腕を負傷したこと、霍元甲が日本人の売薬を服用した際に病状が悪化したことが記されています。しかし、陳公哲は日本人との交流は友好的なものであったと明記しており、霍元甲の死因は肺を痛めたことによる喀血病としています。

関連作品

霍元甲の生涯は、多くの映画やドラマで映像化されています。以下に代表的な作品を挙げます。

映画

激突! キング・オブ・カンフー（1982年、演：レオン・カーヤン）
THE SPIRIT 怒りの正拳（2005年、演：シュー・シャオロン）
SPIRIT（2006年、演：ジェット・リー）
この作品では、ジェット・リーが霍元甲の享年と同じ年齢で主演を務め、中村獅童が日本人武術家役で出演しています。ジェイ・チョウによる同名主題歌も話題となりました。
カンフーリーグ（2018年、演：アンディ・オン）
マスター・オブ・カンフー（2020年、演：フー・グオファン）

ドラマ

大俠霍元甲（1981年、演：黃元申）
精武門（1995年、演：エディ・コー）
* 中華英雄伝（2001年、演：チウ・マンチェク）


霍元甲は、その武術の腕前だけでなく、愛国心と正義感でも人々を魅了し、今日でも多くの人々に敬愛されています。

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