露土戦争 (1768年-1774年)

第一次露土戦争の概要

第一次露土戦争（1768年 - 1774年）は、ロシア帝国とオスマン帝国との間で繰り広げられた重大な戦争で、この戦争は両国にとって重要な歴史的な出来事となりました。戦争の発端は、1768年に発生したコリーイの乱に遡ります。この反乱の中、オスマン帝国が支配する地域に対して一部の反乱軍が攻撃を行ったため、オスマン帝国はロシア帝国に対して戦争を宣言し、新たな戦闘が始まりました。

戦局の推移

戦争開始後、ロシア側にはアレクサンドル・スヴォーロフが派遣されました。彼はポーランドの制圧を完了させた後、1773年4月17日にアストラハン歩兵連隊とコサック騎兵連隊の指揮権を引き継ぎました。スヴォーロフの部隊は、サルティコフ中将が率いる第一軍の中で右翼に配置され、戦局を有利に進めるための重要な役割を担っていました。

1773年6月28日、スヴォーロフはドナウ川近くに設けられたオスマン軍の野営地を奇襲し、見事な勝利を収めました。この勝利により、オスマン軍はドナウ川を越えて撤退し、ロシア軍はルーマニアを制圧することに成功し、さらなる侵攻の基盤を築くことができました。1774年4月、スヴォーロフはバルカン半島に侵攻し、6月20日にはコズルドジの戦いにおいて8,000名のロシア軍で40,000名のオスマン軍を撃破しました。この戦いはオスマン帝国にとって極めて大きな損失となり、戦局の転換点となりました。

影響とその後の変化

1774年6月21日、キュチュク・カイナルジ条約が締結され、ロシアはオスマン帝国から多くの利益を獲得しました。この条約により、ロシアは黒海沿岸の地域における権益を強化し、貿易活動を活発化させるための好条件を手に入れました。また、1775年にはロシア帝国の手によってザポロージャのシーチが破壊され、クリミア・ハン国とザポロージャ領が合併し、「ノヴォロシア」と改名されました。1783年には、この地域がロシア帝国に正式に併合されることとなりました。

このように第一次露土戦争は、ロシアの南下政策を推進する上で重要な役割を果たし、その後の露土戦争（1787年 - 1791年）へとつながっていくことになります。この戦争の影響は、国境の変化や領土の併合にとどまらず、ロシアとオスマン帝国との緊張関係を一層深めることとなりました。

参考文献

* 新人物往来社（編）『ロシア・トルコ戦争（露土戦争）』別冊歴史読本71 世界「戦史」総覧、1998年6月。

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