露土戦争 (1806年-1812年)

露土戦争の概要

露土戦争は1806年から1812年まで続いた、ロシア帝国とオスマン帝国の間で発生した戦争の一つです。本記事ではこの戦争の背景、経緯、戦闘、さらには講和の内容について詳しく述べます。

背景と前触れ

戦争の根底には、バルカン半島における民族的および政治的動乱が存在しました。特に、1804年からセルビアでの第一次セルビア蜂起において、ジョルジェ・ペトロヴィチがオスマン帝国に対抗する反乱を主導しました。この事態はロシアにとって好機と捉えられ、セルビア人からの支援要請が高まりました。

オスマン帝国は、ワラキアとモルダヴィアの親ロシア派の公を罷免しはじめたことが、戦争を引き起こす一因となりました。これに対抗する形でロシアは両公国を占領し、最終的に戦争状態に突入しました。ロシアは同時にナポレオン戦争にも参加しており、フランスとの関係が戦争に影響を与えました。

戦闘とオスマン帝国の変動

戦闘はドナウ川沿岸やバルカン半島で展開され、オスマン帝国にとって初めは有利に進展していました。しかし、セリム3世が改革派の新軍を送り込むと、地元のアーヤーンたちがこの進軍を阻止しようと結集しました。この動きは保守派にとって歓迎すべきものでした。

反乱によって、セリム3世は1807年に廃位され、ムスタファ4世が即位する混乱が続きました。オスマン帝国の内部での政変はロシアとの戦争に悪影響を及ぼしました。一方、ロシア側ではミハイル・クトゥーゾフが復帰し、優れた指揮能力を発揮しました。

フランスとの悪化する関係

ロシア帝国とフランスの関係が悪化する中、ロシアは経済的な打撃を受け、その結果として貴族や商人の間で不満が高まりました。ナポレオンがロシアと敵対する動きを強める中、ロシアはイギリスとの関係を修復し、新たな連携を模索しました。

講和とその影響

1812年、ロシアの対トルコ戦争継続が難しくなる中で、オスマン帝国も国内の問題に直面していました。結果として、両国は1812年にブカレスト条約を締結します。その中でロシアはベッサラビアを併合し、ワラキアとモルダヴィアをオスマン帝国に返還します。オスマン帝国はセルビアに少しの自治を与えることで、長期的な独立への道を開くこととなりました。

この戦争は、バルカン半島の政治状況や国際関係に大きな影響を与えた歴史的事件として位置付けられています。

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