青いバラ (サントリーフラワーズ)

青いバラ：不可能を可能にした夢

青いバラは、日本のサントリーフラワーズとオーストラリアのCalgene Pacific（現フロリジーン）との共同研究によって誕生しました。長年、バラ愛好家の間で夢とされてきた青いバラは、遺伝子組換え技術によって初めて実現しました。

開発の背景

かつて、英語で「Blue Rose」は「不可能」を意味していました。バラには青色の色素がなく、品種改良だけでは厳密な意味での青いバラを作ることは不可能だったのです。そこで、研究者たちはバイオテクノロジー、特に遺伝子組み換え技術に希望を託しました。

パンジーから青色色素デルフィニジンを作り出すために必要な酵素の遺伝子を単離し、バラに導入することで、ついに青いバラが誕生しました。この成功は、14年もの歳月をかけた努力の結晶です。

花言葉の変化

当初、人工的に作られた青いバラの花言葉は「不可能」「有り得ない」でした。しかし、開発が進むにつれて「奇跡」「神の祝福」「夢叶う」といった新たな花言葉が与えられました。サントリーフラワーズは、青いバラのブランド「アプローズ」に「喝采」という意味を込め、「夢かなう」という花言葉を添えました。

青いバラ誕生の歴史

1990年：サントリーとカルジーンパシフィックの共同プロジェクトが開始。
1991年：青いペチュニアから青色遺伝子の取得に成功。
1994年：ペチュニアの遺伝子を導入したバラを咲かせることに成功するも、花弁の色に変化は見られず。
1995年：世界初の青いカーネーション「ムーンダスト」が誕生。
1996年：パンジーの青色遺伝子を入れたバラの開花に成功。
1998年：デルフィニジン含有率が向上し、青みを帯びた色合いに変化。
1999年：より青みを帯びたバラを得ることに成功。
2004年6月30日：青いバラが発表される。
2008年1月31日：カルタヘナ法に基づく一種使用規定承認。
2009年11月3日：「アプローズ」が発売開始。

青色発色のメカニズム

アントシアニンは、フラボノイド系の色素で、デルフィニジン系のものが青色発色に関与しています。バラには本来、デルフィニジンを生合成する酵素がありません。そこで、パンジーからF3'5'Hという酵素の遺伝子を導入し、さらにトレニア由来のアントシアニン5-アシル基転移酵素の遺伝子も導入することで、デルフィニジンを安定化させています。

現在の課題と未来

現在の青いバラは、実際には青紫色に近い色をしています。より青色に近づけるための研究が続けられています。また、遺伝子組換え生物に対する抵抗感を克服し、青いバラの普及を促進することも課題となっています。

関連情報

青いバラは、サントリーホール小ホールの愛称や、TIGER & BUNNYのキャラクター名、ARMSという作品に登場するなど、様々な分野に影響を与えています。

まとめ

青いバラは、不可能を可能にしたバイオテクノロジーの象徴です。その美しい花は、人々に夢と希望を与え続けています。今後の研究によって、さらに青いバラが進化していくことが期待されます。

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