青い影

「青い影」について

「青い影」（あおいかげ、原題：A Whiter Shade of Pale）は、1967年にイギリスのロックバンドプロコル・ハルムによって発表されたデビュー曲で、急速に人気を集めました。この曲は全英シングルチャートで6週連続の1位を記録し、さらにアメリカのビルボードでも5位に達しました。それだけでなく、ローリング・ストーンが選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500では57位にランクインしています。

作詞・作曲

曲の歌詞はキース・リード、音楽はゲイリー・ブルッカーによって作られましたが、後に法的な問題が生じ、当時のメンバーであるマシュー・フィッシャーも作曲者として認められることとなりました。フィッシャーのオルガンによる迫力あるイントロは、バッハの「管弦楽組曲第3番の「G線上のアリア」に似ていると多くの音楽評論家から指摘されており、さらにパーシー・スレッジの「男が女を愛する時」の影響も受けているとのことです。

レコーディングの経緯

この楽曲のレコーディングは1967年4月、ロンドンのオリンピック・スタジオで行われました。プロコル・ハルムは当時ドラマーを固定していなかったため、ジャズドラマーのビル・エイデンがセッションに参加しました。この楽曲はわずか2テイクで録音が完了し、オーバーダビングは行われませんでした。楽曲はハ長調で作られ、数日後には新しいドラマーのボビー・ハリソンを迎えて再度録音を試みたものの、その結果は採用されることはありませんでした。

商業的成功

「青い影」は1967年5月12日にシングルとしてリリースされ、A面として発売され、B面には「ライム・ストリート・ブルース」が収録されました。リリースから2週間で40万枚近くが売れました。同年7月にはビルボードHot 100でも5位にランクされ、以降、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、オーストラリアなど、さまざまな国で1位を記録しました。

アルバムとその後の展開

同年の9月に、プロコル・ハルムはアメリカでファーストアルバム『Procol Harum』をリリースしましたが、この盤には「青い影」が収録されました。しかし、イギリス盤には収録されないという妙な状況が続きました。また、B面の「ライム・ストリート・ブルース」もどのオリジナルアルバムにも含まれませんでした。2015年にはファーストアルバムのデラックスエディションが発売され、「青い影」のオリジナルバージョンやさまざまな別バージョンが収録されることになりました。

歌詞とテーマ

邦題は「青い影」ですが、原題の「shade」は「影」という意味よりも、「色合い、色調」を表しています。実際、曲の掘り下げられたテーマや印象は、聴く者に深い感動を与えるものです。この曲は多くの名歌詞とともに、以下の著名なアーティストによってもカバーされています。

裁判と法律問題

2005年には、フィッシャーが「青い影」の著作権を巡って訴訟を起こしました。フィッシャーはオルガンのソロや作曲への貢献を主張し、著作権料の分配を求めました。最終的には長期の法廷闘争を経て、フィッシャーは作曲者としての認識を受けることとなりました。

文化的影響

この曲は1988年の日産自動車のCMや、1997年にはフジテレビの放送終了時に使用されるなど、多くの場面でその存在感を示しています。また、ジョン・レノンは「人生でベスト3に入る曲だ」と語り、松任谷由実はこの曲をきっかけに自作曲を書くようになったと語っています。こうしたエピソードは、この曲の持つ影響力の証拠です。

「青い影」は世代を超えて聴かれ続ける名曲であり、その美しさはいつまでも色褪せることがありません。

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