青い空と赤い花

今井美樹によるデジタルシングル「青い空と赤い花」（あおいそらとあかいはな）は、2017年3月1日にユニバーサルミュージックジャパンから配信形式でリリースされた楽曲です。これは、前作「memories」以来、実に6年半ぶりとなるシングル発表であり、アーティストとしての新たな展開を示す一歩となりました。

この楽曲が特に注目された背景には、制作に携わった作家陣の顔ぶれがあります。作詞は岩里祐穂、そして作曲は上田知華が手がけていますが、この二人のクリエイターは、かつて今井美樹のキャリアにおいて「PIECE OF MY WISH」をはじめとする数々のヒット曲を生み出し、彼女の最も輝かしい時期、いわゆる「黄金期」を共に築き上げた重要な存在です。長らく直接的な楽曲提供から離れていたこの強力なコンビが、再び今井のために書き下ろした新曲であるという事実は、多くのファンや音楽関係者にとって大きなサプライズであり、話題を呼びました。

さらに、「青い空と赤い花」は、結果として上田知華が今井美樹に提供した最後のレコーディング楽曲となりました。これは、単なる新曲の発表に留まらず、両者が長年にわたり培ってきた音楽的なパートナーシップにおける、一つの区切りを象徴する作品としての意味合いも持ち合わせています。

この楽曲は、正式な配信リリースに先駆けて、2016年秋よりカネボウ化粧品のスキンケアブランド『EVITA』のテレビCMソングとして採用され、広くオンエアされていました。テレビCMで耳にした視聴者や、その前からライブ会場でこの新曲のパフォーマンスを聴いていた熱心なファンの間で、「是非リリースしてほしい」という強い要望が高まります。

こうした多くの声援やリクエストに応える形で、本作はCDシングルではなく、当時の音楽マーケットで普及が進んでいたiTunes Storeやレコチョクといった主要なプラットフォームを通じて、配信限定シングルとして発売されることが決定しました。これは、ファンとのコミュニケーションがダイレクトに作品リリースにつながった好例とも言えます。

「青い空と赤い花」のサウンド面は、編曲家である河野圭が担当しました。この楽曲は、作詞：岩里祐穂、作曲：上田知華という布陣に加え、CMタイアップという強力な後押しも得て、多くの人々に届けられました。

長期間のシングルリリース休止期間を経て、過去の栄光を彩った作家陣との再会、そしてファンからの熱い要望という複数の要素が結実して生まれた「青い空と赤い花」は、今井美樹のディスコグラフィーにおいて、過去と現在を結びつけ、ファンとの絆を再確認するような、特別な位置を占める楽曲と言えるでしょう。デジタル形式でのリリースながらも、その背景にある物語性は、この楽曲をより印象深いものとしています。

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