青年は荒野をめざす

青年は荒野をめざす

『青年は荒野をめざす』は五木寛之が1967年に発表した作品で、当時多くの若者に支持を受けた週刊『平凡パンチ』に連載されました。この小説は、青年の自己探索の旅と、音楽、恋愛、友情をテーマにして進行していきます。特にジャズ音楽が物語の中心に据えられ、主人公の成長を彩る重要な要素となっています。

あらすじ

物語は全8章から構成され、20歳の若者がヨーロッパを巡りつつ、その中で音楽や女性、酒を通じて自己を見つめ直していく様子が描かれています。主人公は大学進学を断念し、ジャズ喫茶で演奏して貯めた資金で旅に出発します。

1章：霧のナホト航路

最初の章では、新宿のジャズ喫茶「ペイパー・ムーン」でトランペットを演奏しながら、横浜からナホトカを経てヨーロッパへ向かう航海が描かれています。そこで出会った人々との交流や、船上で行われるコンサートが主人公の心に新たな希望をもたらします。

2章：モスクワの夜はふけて

続く章では、モスクワでの出来事が語られます。主人公は、スチュワーデスとの出会いを通じて新たな体験をし、麻紀との関係も深まり、彼の人生における新たな選択が迫られます。

3章：白夜のニンフたち

ストックホルムでの体験は、主人公に新たな友情と自己の成長を促すものとなります。ユニークな日本人との出会いや、若者同士の確執も描かれ、人間関係の複雑さが浮き彫りにされます。

4章：地下クラブの青春

地下クラブでの出来事では、異なる価値観や文化に触れることで、主人公の理解が深まります。クリスチーヌやアンナとの出会いがもたらす刺激的な夜の数々が強烈な印象として残ります。

5章：人魚の町のブルース

コペンハーゲンへ移った主人公は再び麻紀と再会し、音楽を通じた共演によって絆が強まります。三者の競演が、さらなる情熱をかきたてます。

6章：パリ・午前零時

ジャズの本場パリでの経験は、主人公にとって大きな影響を与えます。数々のトラブルや出会いが、彼の音楽に対する情熱をさらなる高みへ引き上げます。

7章：南ヨーロッパへの旅

ロンドンからマドリッド、リスボンへと続く旅では、異文化への理解が深まり、決闘などの刺激的な経験を通じて、主人公は自己を見つめ直します。

終章：新たな荒野を求めて

物語の締めくくりでは、主人公は新たな旅立ちを決意し、父への手紙にその思いを綴ります。大学進学を選ばなかったことを悔やまず、人間生活の中で多くの学びを得たと感じています。

結論

この小説は、その美しい描写と深い人間理解を持っており、音楽と青春の息吹を感じる作品です。五木寛之は、主人公を通じて、聴く人々に強いメッセージを送っています。音楽を愛する全ての人にとって、心に響く物語です。

もう一度検索