青年訓練所

青年訓練所について

青年訓練所は、1926年（大正15年）から1935年（昭和10年）にかけて日本に存在した、男子青年向けの教育機関です。中等学校に進学しない青少年を対象に、軍事教練などを施すことで、心身の鍛錬と国家観念の育成を目指していました。

沿革

青年訓練所は、1926年に勅令青年訓練所令および青年訓練所規程に基づき設置されました。表向きは青少年の心身を鍛え、国民としての資質を向上させることが目的とされていましたが、実際には国体観念を習得させ、忠実な臣民を育成することが重視されていました。

設置主体は市町村や学校組合のほか、民間団体も含まれていました。公立の訓練所は実業補習学校や小学校に併設されるのが一般的でしたが、工場や鉱山、商店などでも、地方長官の認可を得て設置することができました。運営は地方長官の監督下で行われ、訓練課程やその他必要な事項は文部大臣が決定していました。職員として、主事と指導員が配置され、公立の場合は実業補習学校長や小学校教員、在籍軍人などが任命されました。

初年度には全国で1万5,580校が開校し、89万1,550人もの生徒が在籍していました。しかし、1935年には実業補習学校との統合という形で、青年学校へと発展的に解消されました。この背景には、教育内容の重複に加え、生徒の約半数が二重学籍を抱えているという問題がありました。

教育内容

訓練期間は4年間で、16歳から20歳までの男子が入所しました。入所資格は原則として16歳以上17歳未満でしたが、特別な事情がある場合は17歳以上でも入所が認められました。訓練内容は、修身・公民科が100時間、教練が400時間、普通科が200時間、職業科が100時間と定められており、全期間で計800時間でした。

青年訓練所における教練の成果を測るため、また修了者が兵役に関する資格を備えているかを評価するために、教練査閲が行われました。査閲官は師団長が部下将校の中から任命し、2年に少なくとも1回実施されるのが通例でした。

青年訓練所または兵役法施行令で同等以上の訓練を修了し、修了証または証明書を持つ者は、現役歩兵として歩兵聯隊に入営する際、中隊長による検定試験に合格すれば、在営期間が6ヶ月短縮されました。

まとめ

青年訓練所は、当時の日本の社会情勢を反映した教育機関であり、男子青年の心身鍛錬と国家への忠誠心を育むことを目的としていました。その教育内容は、後の青年学校へと引き継がれ、日本の教育制度の一端を担いました。

参考資料

文部省 『学制百年史』 帝国地方行政学会、1981年。
『青年訓練所』 - コトバンク

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