青春かしわ

青春かしわ

「青春かしわ」は、千葉県柏市で市民に親しまれている愛唱歌です。この歌の歌詞は山口ちえ子氏が手掛け、それに東條寿三郎氏が補作を加えました。作曲と歌唱は、著名な歌手である三橋美智也氏が担当しています。この楽曲は、同じく柏市の市民音頭として制作された「かしわふるさと音頭」と同時に誕生しました。

制定の背景と経緯

「青春かしわ」と「かしわふるさと音頭」は、1979年（昭和54年）に柏市が市制施行25周年を迎えることを記念した事業の一環として企画されました。当時の市の取り組みは、「歌を通じてふるさと柏への愛着を育む」という目的を掲げており、そのための手段として市民参加型の歌作りを目指しました。

具体的には、市民を対象に両楽曲の歌詞を公募しました。この募集には熱心な市民から合計で121篇もの応募が寄せられました。応募された作品の多くは、地域で歌い継がれる音頭調のものが中心で、特に主婦からの応募が数多く見られました。

寄せられた歌詞は、市民愛唱歌部門と市民音頭部門に分けて審査されました。審査を担った「ふるさと柏のうた選考委員会」によって選出された作品は、委員の一員であった東條寿三郎氏によって補作が施され、最終的な歌詞が決定されました。

楽曲の旋律と歌唱は、日本の歌謡界を代表する存在であった三橋美智也氏に委嘱されました。三橋氏は作曲に際して、「『かしわふるさと音頭』は若い世代から中高年まで、誰もが気軽に歌えて、すぐに覚えられるような曲に、『青春かしわ』は中学生くらいから親しめる、若々しい曲調にしたい」という意向を示したと伝えられています。完成した楽曲は、キングレコードからシングル盤としてリリースされました。このレコード（規格品番：NCS-1218）には、A面に「かしわふるさと音頭」が、B面に「青春かしわ」がそれぞれ収録されています。これらの歌が公の場で初めて披露されたのは、同年11月28日に執り行われた市制25周年記念式典の席上でした。

現在の状況

2005年（平成17年）に、隣接していた東葛飾郡沼南町が柏市に編入合併されました。この合併は、旧自治体の法人格が引き継がれる編入合併方式で行われたため、合併以前から存在した「青春かしわ」や「かしわふるさと音頭」は、現在も引き続き市の歌として存続していると考えられています。

しかしながら、これらの楽曲は現在の柏市において「正式な市歌」として明確に位置づけられているわけではありません。合併に際して設けられた柏市・沼南町合併協議会では、旧沼南町の町歌を「地域の歌」として維持する方針が確認されました。一方、柏市側が提出した関連資料では、「市の歌」の項目が空欄とされており、「青春かしわ」などが公式な市歌として定められていない現状を示唆しています。

旧沼南町の歌について

2005年に柏市へ編入されるまで、旧東葛飾郡沼南町には独自の町歌がありました。この歌は「沼南町の歌」として知られ、作詞は宮中雲子氏、作曲は吉田信氏が手掛け、1974年（昭和49年）に制定されました。この町歌は、同時期に作られた町民音頭「沼南音頭」と共に、当時の沼南町民に歌い継がれていました。

「沼南町の歌」と「沼南音頭」も、当時の赤坂ミュージックスタジオによってシングル盤として制作されました。このレコード（規格品番：AMS-213）には、A面に沼南混声合唱団による「沼南町の歌」が、B面に由岐ひろみ氏が歌唱する「沼南音頭」が収録されています。

沼南町が柏市に編入合併される際、これらの旧沼南町の歌および音頭は、「地域の歌」として今後も維持されることが申し合わされました。現在でも、旧町役場の機能を引き継いだ柏市役所沼南支所のウェブサイトなどで「沼南町の歌」の歌詞が公開されており、地域の歴史や文化を伝える歌として受け継がれています。

関連項目として、[千葉県の市町村歌一覧]などがあります。

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