青春とはなんだ

青春ドラマの金字塔『青春とはなんだ』：小説から生まれた国民的シリーズ

1965年、石原慎太郎の同名小説を原作としたテレビドラマ『青春とはなんだ』が日本テレビ系列で放送を開始しました。夏木陽介と藤山陽子を主演に迎え、東宝が制作した本作は、青春学園ドラマというジャンルにおいて、その後のシリーズ展開に多大な影響を与える金字塔となりました。

アメリカ帰りの教師と生徒たちの交流

物語の中心となるのは、アメリカから帰国した野々村健介（夏木陽介）。彼は田舎町・森山町にある森山高校の英語教師に就任します。ラグビー部顧問として生徒たちと深く関わり、教育を通して人間性を育んでいく一方で、町に潜む闇とも対峙していくという、熱く、そして複雑な物語が展開します。

好評により放送延長、そしてオリジナルストーリーへ

当初は2クール（半年）26話放送の予定でしたが、視聴者の高い人気により、放送期間は1年間に延長されました。この延長に伴い、原作小説から大きく離れたオリジナルストーリーが展開されることになり、第27話以降はクレジット表記が「原作・石原慎太郎」から「原案・石原慎太郎」に変更されました。特に2クール終了予定の第25話「どろんこ作戦」は、複数の監督がクレジットされており、東宝の制作体制の力の入れ具合を伺わせるエピソードとして語られています。

映画化、そしてシリーズ化へ

ドラマ版放送開始の3ヶ月前には、石原裕次郎主演で日活によって映画版が公開されています。そして、ドラマ版終了直後には、東宝が劇場版『これが青春だ！』を制作公開。これは『でっかい太陽』『燃えろ！太陽』へと続く青春学園シリーズの始まりとなり、『青春とはなんだ』はシリーズ全体の礎を築いたと言えるでしょう。

一社提供と豪華出演陣

大正製薬の一社提供で放送された本作は、同社の提供枠における歴史的な作品となりました。大正製薬はその後も日本テレビの番組提供を続け、現在も人気番組『世界の果てまでイッテQ！』の提供を行っています。

ドラマには、夏木陽介、藤山陽子をはじめ、加東大介、寺田農、岡田可愛など、錚々たる俳優陣が出演。生徒役、教師役、町の人々など、個性豊かなキャラクターたちが物語を彩っています。また、日本テレビアナウンサーの徳光和夫や清水一郎も番組に出演するなど、当時のテレビ界を代表する顔ぶれが名を連ねています。

時を超えて愛される名作

放送から半世紀近くが経過した現在でも、『青春とはなんだ』は多くの視聴者から愛され続けています。2015年には、主要キャストの再会番組が放送されるなど、その人気は衰えることを知りません。しかし、残念ながら現在、全41話を収録した映像ソフトは発売されていません。1993年にはドラマのBGM集がCDで発売されており、映像化されていない本作を音で楽しむことが可能です。

様々なメディアへの展開

原作小説は地方紙への連載を経て、1965年に講談社から書籍化されました。その後も角川文庫、講談社現代長編文学全集などに収録され、広く読まれています。また、『週刊マーガレット』にもテレビ小説として掲載されるなど、多様なメディアに展開されています。

現在も、多くの書籍や論文で本作は取り上げられ、その社会的な影響、文化的意義について論じられています。まさに、日本のテレビドラマ史に燦然と輝く、不朽の名作と言えるでしょう。

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