青春歌年鑑

『青春歌年鑑』：日本の音楽史を彩る名曲の数々

『青春歌年鑑』は、日本の13社のレコード会社が共同で企画・制作した、1950年代から1990年代の日本のヒットソングを集めたコンピレーションCDアルバムシリーズです。各年代を網羅した多様なラインナップと、楽曲選定のこだわりが特徴で、日本の音楽史を辿る上で貴重な資料となっています。

選曲のこだわり：ヒットチャートだけではない

基本的にはオリコン年間シングルチャート100位以内の楽曲を収録していますが、単なるヒットチャートの上位曲だけでなく、その時代を象徴する話題性のある楽曲も積極的に選曲しています。例えば、尾崎豊の「卒業」（1985年）やとんねるずの「炎のエスカルゴ」（1988年）などは、年間チャート100位以内には入らなかったものの、当時大きな話題となったため収録されています。

一方で、主要レコード会社に所属しながらベスト100に入っていないアーティスト（沢田研二、長渕剛、サザンオールスターズ、竹内まりやなど）や、『青春歌年鑑』シリーズ全体を通して未収録のアーティスト（中島みゆきなど）も存在します。これは、版権や選曲の都合によるものでしょう。また、同じ楽曲でも、収録アルバムによって異なるバージョン（例えば、シングルバージョンとアルバムバージョン、あるいは異なるアーティストによるカバーバージョンなど）が収録されている場合もあります。例えば、八神純子の「パープルタウン～You Oughta Know By Now～」は、収録アルバムによってタイトル表記が異なっています。

多彩なシリーズ展開：年代別、ジャンル別、総集編

『青春歌年鑑』シリーズは、年代別に分かれたアルバム（'60～'90）と、その続編である『続・青春歌年鑑PLUS』、フォークソングに特化した『フォーク歌年鑑』、戦前・戦後の楽曲を収録した『青春歌年鑑 戦前編』『青春歌年鑑 戦後編』、そして各年代の総集編や、演歌・歌謡曲に特化した『青春歌年鑑 演歌歌謡編』など、実に多様なシリーズ展開がなされています。さらに、複数の年代をまとめたボックスセットも発売されています。これらのシリーズを通して、日本の音楽史を幅広く、深く知ることができます。

音源のバリエーション：オリジナルとカバー、シングルとアルバム

収録されている音源も多様性に富んでいます。オリジナル音源に加え、カバーバージョンも含まれており、同じ楽曲を異なるアーティストが歌うバージョンを聴き比べることも可能です。「ウナ・セラ・ディ東京」、「17才」、「浪花節だよ人生は」など、多くの楽曲で、異なるアーティストによるバージョンが収録されています。また、シングルバージョンとアルバムバージョン、EP盤バージョンなどが混在しており、シングル盤、EP盤、アルバム盤それぞれの音源の違いを楽しむことができます。中には、アレンジやキーが異なるアルバムバージョンや、シングル版とは異なるミックスが施されたバージョンなども収録されており、聴き比べの面白さがあります。さらに、アルバム『青春歌年鑑』シリーズで初公開となるアレンジ音源も存在します。例えば、光GENJIの「荒野のメガロポリス」は、シングル版とは異なるフルサイズのバージョンが収録されています。

協賛レコード会社と楽曲提供

『青春歌年鑑』シリーズは、多数のレコード会社が協賛して制作されています。ソニー・ミュージックエンタテインメント、キングレコード、日本コロムビアなど、日本の音楽業界を代表するレコード会社が参加しており、それぞれのレーベルの垣根を越えた楽曲の収録が実現しています。さらに、協賛社以外にも、多数のレコード会社や音楽出版社が協力しています。

まとめ

『青春歌年鑑』シリーズは、単なるコンピレーションアルバムにとどまらず、日本の音楽史を深く掘り下げた貴重な資料であり、音楽ファンにとって魅力的なコレクションとなっています。その豊富な楽曲数、多様なバージョン、そして時代の流れを感じさせる選曲の数々は、多くの音楽ファンを魅了し続けています。

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