青木文一郎

青木文一郎：日本の哺乳類学の先駆者、初代岐阜大学長

青木文一郎（あおき ぶんいちろう、1883年8月16日 - 1954年7月2日）は、日本の哺乳類学者であり、台北帝国大学教授、そして岐阜大学の初代学長を務めた人物です。彼の生涯は、哺乳類研究への情熱と、教育者としての献身に彩られています。

生い立ちと学歴

1883年、青木文一郎は岐阜県厚見郡日置江村に生まれました。彼は、且格尋常小学校、岐阜中学校、第三高等学校を経て、1907年(明治40年)に東京帝国大学理科大学動物学科に入学し、1910年に卒業後、同大学大学院へと進みました。

動物学研究者としての活躍（戦前）

1913年(大正2年)には九州帝国大学助手に採用され、解剖学教室に勤務しました。その後、旧制愛知医科大学（現名古屋大学）予科教授、講師を経て、1927年4月には台湾総督府高等林業楽校教授に任命され、イギリス、フランス、イタリア、アメリカへの2年間の在外研究を命じられました。1929年3月に帰国すると、4月より台北帝国大学理農学部動物学教室教授に就任し、1934年からは理農学部長も務めました。
台北帝国大学では、立石新吉らと同僚として研究を進め、1943年からは動物学第二講座を率いました。1944年5月に台北帝国大学を依願免官し、同年11月には台北帝国大学名誉教授となりました。しかしその後も台湾にとどまり、講師として教鞭をとり、太平洋戦争終結後も1945年11月には台湾大学理学院で留用されました。

戦後の活動と岐阜大学初代学長

1946年12月、青木文一郎は駆逐艦宵月に乗船して日本へ引き上げ帰国しました。そして1949年5月、岐阜大学学長を命じられ、初代学長に就任（在任期間：1949年5月31日～1954年7月1日）しました。学長在任中の1954年7月2日に亡くなりました。

研究内容と業績

青木文一郎は、[日本哺乳類学会]の前身である「哺乳動物談話会」時代から評議員をつとめ、日本の哺乳類研究の振興に尽力しました。彼の指導を受けた学生には、田中亮(台北帝国大学時代の指導学生)がいます。

家族

祖父は加納藩藩士の青木平弥、伯父は日置江村村長の青木東洋です。

主要な著作・論文

青木文一郎は、多数の著書や論文を発表しており、その研究成果は日本の哺乳類学の発展に大きく貢献しています。

著書

『日本産鼠科』(1915)
『哺乳類』(岩波講座生物學 動物學)(1931)
『南支・南洋の陸棲動物相』(1938)

主要論文

「哺乳動物臼齒の進化(進化論遺傳及趨異學)」(1910)
「日本のヒミズモグラ類」(1911)
「哺乳動物學概説第二回 齒」(1911)
「再びヒミズモグラ類に就て」(1912)
「哺乳動物より観たる台湾島と其周円」(1930)
「臺灣産鼠類の食性に關する研究」(1941)
「The Rats and Mice of Formosa Illustrated」(1942)


青木文一郎の業績は、日本の哺乳類学研究の基礎を築き、後進の研究者たちに大きな影響を与えました。彼の研究への情熱と教育への献身は、これからも語り継がれていくでしょう。

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