立石新吉

立石新吉（たていし しんきち）

立石新吉（1894年1月 - 1977年10月31日）は、日本の動物学者です。齧歯目の研究でその名を知られています。

経歴

1894年、立石新吉は長崎県北松浦郡南田平村（現在の平戸市）に生まれました。1914年（大正3年）に長崎師範学校を卒業後、教育者としての道を歩み始めます。

1919年からは滋賀県立大津高等女学校（現在の滋賀県立大津高等学校）、1920年からは愛媛県宇和島中学（現在の愛媛県立宇和島東高等学校）で教鞭を執りました。1923年、県立愛知医科大学（現在の名古屋大学）の助教授に就任。その後、1930年より台北帝国大学理農学部動物学教室（比較形態学・哺乳動物学）で助教授として研究に携わりました。青木文一郎教授の下で哺乳類や昆虫類の染色体研究に取り組み、独自の境地を開拓したと評されています。1944年5月には、学位論文『鼠類の性染色体』を台北帝国大学に提出し、理学博士号を取得しました。

戦後

戦後の1949年8月8日、立石新吉は息子の立石昭三、その妻（台湾総督府鉄道部部長の速水和彦の姪）、速水和彦らと共に日本丸で台湾から帰国。帰国後は長崎水産大学（現在の長崎大学水産学部）の教授として教鞭を執りました。また、1936年の「東亜蜘蛛学会趣意書」（日本蜘蛛学会の前身）の発起人名簿にも名を連ねています。1957年2月から1959年1月にかけては、長崎大学水産学部の第5代学部長を務めました。1977年10月31日に逝去。

受賞・栄典

従六位

研究内容・業績

立石新吉は、特に齧歯目の研究で知られています。

ジュゴンの解剖

東京人形倶楽部あかさたな漫筆によると、ジュゴンの解剖は青木文一郎教授率いる青木教室のメンバー（立石新吉助教授、田中亮、古畑北雄）に加え、平坂教室（平坂恭介教授）の原田五十吉、川口四郎、台湾博物館の関係者、台北市動物園、第二師範からも協力があり、6時間にわたって行われました。

解剖の結果は「儒艮の解體所見」(挿圖３，圖版８)として「科學の臺灣」第６巻第５号(昭和13年11月20日、臺灣博物館協會)に発表されました。この号は「儒艮特別號」と題され、表紙にはジュゴンの骨格、裏表紙にはトレス海峡のジュゴンが彫刻された真珠貝の写真が飾られています。

著作

青木文一郎; 立石新吉, 臺灣總督府内務局, ed., 天然紀念物調査報告, 台北: 臺灣總督府内務局

論文

立石新吉 (1965), “金子一狼先生の印象あれこれ”, 鴻洋 (長崎: 長崎大学水産学部学友会) (7): 10-14

参考文献

立石, 昭三 (2008). “台湾台北へのセンチメンタル・ジャーニー（速水和彦氏のことなど）”. 私達の教育改革通信 (117).
福井, 玉夫 (1936). “東亜蜘蛛学会趣意書”. Acta arachnologica (東亜蜘蛛学会) 1 (1): 2-4.
牧野, 佐二郎 (1954). “動物細胞学”. 動物学雑誌 63: 352-355.
* 藤原, ミカエル 健久 (2005). “臺灣人士鑑”. 月報「コイノニア」2005年9月号 (265).

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