青沼合戦

青沼合戦の詳細

概要

青沼合戦（あおぬまかっせん）は、1335年（建武2年）に信濃国の埴科郡船山郷（現・長野県千曲市小船山）で発生した戦闘です。この合戦は、北条氏の残党を支持する国人領主たちによる船山守護所への襲撃から始まりました。信濃国は長きにわたり執権北条氏の支配下にありましたが、後醍醐天皇の建武の新政に対する不満が高まり、地元の国人領主たちが反旗を翻すきっかけとなりました。

この動乱の背後には、北条時行を庇護する諏訪氏や滋野氏との結びつきがあり、彼らが武装蜂起に至ったことが挙げられます。青沼合戦は、これらの緊張が爆発した結果として発生し、後に「中先代の乱」とも呼ばれる一連の戦乱の一部を成しました。

合戦の経緯

この合戦では、小笠原貞宗が早くから足利尊氏に加担しており、北条政権打倒の功績が認められ、信濃守護に任命されました。彼は埴科郡に船山守護所を設置しましたが、この守護所は四宮荘国人領主の四宮左衛門太郎や保科弥三郎などの反乱軍によって襲撃されました。守護側に属していた市河氏は近隣の八幡河原一帯で防戦しましたが、反乱軍側は最終的に敗退しました。

合戦の途中、北条氏を支持する諏訪氏や滋野氏が信濃府中に進攻し、任命されていた国司の清原氏を自害に追い込むなどの暴挙に及びました。これにより、彼らは一時的に信濃の支配を強化しました。加えて、四宮氏の反抗軍も含め、国人たちは北条氏との結びつきを強める動きがみられました。しかし、一部は敗北し、他の地域へ逃れることになりました。

北条方の侵攻

この合戦の余波を受けて、北条方は武蔵国へも侵攻し、鎌倉まで到達しました。ここで足利直義が実権を失い、北条残党が鎌倉を占拠する事態に至ります。しかし、京都から駆けつけた足利尊氏が直義と合流すると、事態は一変し、反乱軍は次第に衰退していきました。諏訪頼重は自害し、北条時行も逃亡を余儀なくされました。

結末とその後

1336年（建武3年）には、小笠原貞宗と村上信貞らが北条方の残党を撃破し、坂城や上山田の地域は村上氏の支配下に入りました。また、埴科郡の清滝城に立て篭もっていた北条残党も追い出され、こうした流れの中で四宮氏は壊滅的な打撃を受けました。最終的には、国府を落とした北条残党も力を失い、高遠へと逃げ延びることとなります。

青沼合戦は、信濃国における時代の転換点を示す重要な出来事であり、後に誕生する新しい勢力図の形成にも寄与しました。

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