四宮荘

四宮荘（しのみやのしょう）とは

四宮荘は、信濃国更級郡四宮地区（現在の長野県長野市篠ノ井地区から千曲市更埴地区）に存在した荘園です。千曲川を渡る津があったとされ、交通の要衝でもありました。

荘園の成立と変遷

荘園の名前は、武水別神社の鎮座に由来すると言われています。この神社は四宮氏の氏神であり、四宮荘は彼らの社領でした。

12世紀末、『吾妻鏡』には、四宮荘が仁和寺領として記録されています。荘内は北条と南条に分かれており、それぞれが仁和寺の支配下にありました。しかし、地頭による年貢未納が発生し、仁和寺が鎌倉幕府に訴えるという事件も起きました。その後、四宮荘は仁和寺北院領として、証性上人や証恵上人によって安堵されました。

鎌倉時代後期には、四宮左衛門跡の一族が御家人として存続していました。また、勅旨田も存在し、高山寺領として安堵された記録も残っています。鎌倉幕府滅亡後には、北条顕時が地頭を務めていました。

中先代の乱と四宮荘

建武2年（1335年）の中先代の乱では、四宮荘は戦乱に巻き込まれました。諏訪神党の保科氏や関屋氏らが、武水別神社神官家の四宮左衛門太郎と共に、船山守護所を襲撃しました（青沼合戦）。これは、北条残党による建武政権への反乱と見なされ、小笠原貞宗によって鎮圧されました。この戦乱で、四宮氏は社里を焼かれ、滅亡したと伝えられています。

その後、足利尊氏によって、四宮荘北条の地頭職が諏訪円忠に与えられ、天龍寺に寄進されました。貞和2年（1346年）には、荘内の在家や田畑が詳細に記録されており、年貢の割り当てが記されています。

室町時代の四宮荘

室町時代に入ると、四宮荘は守護小笠原貞宗の支配下に置かれ、赤沢氏が地頭となりました。大塔合戦（1400年）では、塩崎城が戦場となり、激しい戦いが繰り広げられました。その後、小笠原氏の支配が不安定になると、村上氏が勢力を拡大し、赤沢氏はその支配下に入りました。

しかし、永享の乱（1438年）に乗じて、小笠原政康は村上頼清を排斥し、南条に赤沢対馬守を配置して小坂城を築かせました。その後、赤沢氏の勢力が衰退し、代わって塩崎氏が勢力を伸ばし、塩崎城を拠点としました。

戦国時代の四宮荘

戦国時代になると、四宮荘は武田氏と上杉氏の争いに巻き込まれました。村上義清の支配下にあった塩崎氏は、真田幸隆の調略に応じて武田氏に臣従しました。天正12年（1584年）には、上杉景勝が稲荷山に築城した際、松田氏に八幡神領（小谷荘）の管理を命じています。

諏訪大社との関係

四宮荘は、諏訪大社の造営を負担し、上社の神役を勤仕していました。嘉暦4年（1329年）の記録をはじめ、複数回にわたって諏訪大社の造営に関わっており、天正6年（1578年）の記録には「四宮之郷」と記されています。

四宮荘の終焉

戦国時代末期、四宮荘は豊臣秀吉の支配下に入り、その歴史を終えました。しかし、その名前は、現在でも地名や神社名として残っており、その歴史を今に伝えています。

まとめ

四宮荘は、信濃国に存在した歴史ある荘園であり、その変遷は、鎌倉時代から戦国時代にかけての様々な勢力の争いを映し出す鏡でもありました。四宮荘の歴史を知ることは、日本の歴史、特に信濃国の歴史を深く理解する上で重要な鍵となると言えるでしょう。

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