青空にとび出せ!

青空にとび出せ！：1960年代を彩った青春コメディドラマ

1969年3月30日から9月28日にかけて、TBS系列で放送されたテレビドラマ『青空にとび出せ！』は、当時絶大な人気を誇っていたグループ、ピンキーとキラーズを主演に迎えた青春コメディです。毎週日曜日のゴールデンタイムに放送され、全26話、16ミリフィルムによるカラー作品として制作されました。不二家の一社提供という点も、当時のテレビドラマの状況を反映する興味深い要素です。

夢に向かって走り出す五人

物語は、ボヤ騒ぎによって住んでいたアパートの建て替えが決まったことから始まります。ピンキーとキラーズを演じる5人の若者たちは、立ち退き料を受け取りますが、将来への不安を抱えていました。そんな中、彼らはキャンピングカーの展示会で出会った一台の車に心を奪われ、立ち退き料を出し合って購入します。

そして、彼らはそれぞれの勤め先を辞め、ある壮大な計画を実行に移すことを決意します。それは、自分たちだけの独立国を築くという夢でした。アパートの解体現場から、派手なペイントが施されたキャンピングカー「ピンキングカー」が登場するシーンは、物語の始まりを象徴する印象的な場面となっています。

日本全国を舞台に繰り広げられる珍道中

「ピンキングカー」に乗り込んだ5人は、東京を後にし、独立国の建設という夢に向かって旅立ちます。旅の途中で出会う様々な人々や出来事、そして予想外のトラブルの数々。笑いあり、涙あり、歌ありの珍道中は、視聴者に多くの感動とユーモアを与えました。

彼らは旅の過程で、様々な困難や問題に直面します。しかし、その度に互いに協力し、困難を乗り越えていく姿は、視聴者にとって大きな共感を呼びました。また、出会う人々との触れ合いを通して、友情や愛情といった大切な価値を再確認する場面も描かれています。

スタッフ、キャスト、そして主題歌

このドラマを彩るキャスト陣には、今陽子（ピンキー）、エンディ山口（エンディ）、ジョージ浜野（ジョージ）、ルイス高野（ルイス）、パンチョ加賀美（パンチョ）といった、ピンキーとキラーズのメンバーをはじめ、水森亜土、加藤和彦、田崎潤といった個性豊かな俳優たちが参加しました。ナレーターには、前田武彦と牟田悌三がそれぞれ担当しています。

スタッフ陣も、プロデューサーに香取雍史、音楽にいずみたくなど、当時活躍していた実力派が名を連ねています。監督や脚本も複数のベテランが担当しており、ドラマのクオリティの高さを支えています。

主題歌は、番組タイトルと同じ「青空にとび出せ！」で、ピンキーとキラーズが歌っています。作詞は岩谷時子、作曲と編曲はいずみたくが担当しました。

放送からコミカライズ、そしてソフト化へ

『青空にとび出せ！』は、テレビ放送だけでなく、大和和紀によるコミカライズ作品も発表されました。月刊誌「なかよし」で1969年5月号から9月号にかけて連載されました。

番組で使用された「ピンキングカー」は、番組終了後も別のテレビ番組で使用されたり、長らく映像ソフト化がされていませんでしたが、2023年7月28日に初めて「青空にとび出せ！ コレクターズDVD」として発売されるなど、現在もなお、人々の記憶に残り続けています。放送期間中のオールスターゲーム中継による休止や、再放送時の欠番など、様々なエピソードも、このドラマの歴史の一部となっています。

『青空にとび出せ！』は、単なる青春ドラマにとどまらず、1960年代の日本社会の雰囲気や若者の生き様を映し出した作品として、現在もなお高い評価を受けています。

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