青銅縦目仮面

青銅縦目仮面の詳細

青銅縦目仮面（せいどうたてめかめん）は中国四川省の三星堆遺跡で発見された大きな青銅の仮面で、古代蜀の神秘的な文化を象徴しています。この仮面は幅137cm、高さ64.5cmと非常にサイズが大きく、目からは直径16.5cm、長さ13.5cmの円柱状の瞳が飛び出すように造られています。この特徴が「縦目」という名前の由来となっています。

青銅縦目仮面は、その形状から古代の「青銅人頭像」とは異なる特徴を持っています。特に、額の部分には一本の凸線があり、両端は上方にまで伸びているため、より神秘的な印象を与えています。また、顔の側面には大きな耳があり、これは上部が広がったデザインとなっています。

仮面の眉間の中央には穴が開いており、元々は「青銅戴冠縦目仮面」のような装飾が施されていたと考えられています。さらに、こめかみや下顎部分にも穴があり、これらの場所に何らかの装飾品が取り付けられていたと推測されます。目と耳は別々に作られ、その後面部に埋め込まれて合鋳される技術が使われていました。このような技法からも古代の金属加工技術の高さが伺えます。

青銅縦目仮面は1986年に二号祭祀杭から「青銅戴冠縦目仮面」とともに出土され、その後、博物館の二展庁で展示されるようになりました。発掘された当初から、ある古代の王についての説が提唱されています。それは、古代蜀の王である蚕叢が「目が縦」だったという説です。この種の解釈は、中国の学者の間で広く支持されています。

さらに、現代の研究者の中には、三星堆の人々がヨウ素欠乏症を抱えていた可能性があると考えている学者もいます。その結果、甲状腺機能亢進症が進行し、眼球が突出することに繋がったのではないかという見解です。このように、青銅縦目仮面はただの芸術作品ではなく、古代の人々の健康や生活様式をも反映している重要な歴史資料とされています。

この仮面は、その独特のデザインと神秘的な魅力から、多くの人々の関心を集めています。三星堆遺跡自体が古代文明の謎を多く含んでいるため、青銅縦目仮面はその中でも特に神秘的な存在として、考古学や歴史研究の対象となっているのです。

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