青電 (京成)

京成電鉄「青電」：昭和を彩った緑色の電車

京成電鉄の「青電（あおでん）」とは、第二次世界大戦後、京成線内のみで運用された、緑色の濃淡の塗装を施した鉄道車両の愛称です。この塗装は、マンセル値でダークグリーンが8BG 3/0.5、ライトグリーンが2.5GY 7/1.5という、鮮やかながらも落ち着いた色合いでした。

青電登場の背景

京成電鉄では、創業から終戦まで、茶色や緑に白帯を入れた塗装が一般的でした。しかし、戦後になると、1946年のモハ220形や1948年のモハ600形などで水色単色の車両が登場し、特急用整備を受けたクハ1500形などでは青の濃淡による塗装が採用されるなど、新たな試みが始まりました。

そして1952年、クハ2000形の台枠を流用し、車体を新製した車両2017・2018が緑の濃淡の塗装で登場します。続くクハ2100形にもこの塗装が引き継がれ、この塗装が「青電」として、利用客に親しまれるようになりました。それ以前に製造された車両も、順次青電塗装へと変更されました。

この青電塗装は、初代3000形まで採用されました。しかし、それ以降に製造された車両は、都営地下鉄浅草線乗り入れ用であることを示す「赤電」塗装で登場することになります。

青電の終焉と復活

初代3000形は、1960年から1961年にかけて赤電塗装に変更されました。そのため、青電塗装の車両は旧性能のものが多く、1960年代から1970年代にかけて、新京成電鉄へ移籍したり、廃車となったりしました。210形及び2000・2100形は、1980年頃の京成一般車の塗装簡略化の際に、新赤電塗装に塗り替えられました。

最後の青電は、1982年3月に廃車されたモハ704-クハ2203の行商専用列車編成でした。しかし、その後、前述の210形及び2000・2100形は、1988年のさよなら運転で青電塗装を復活させ、多くのファンを魅了しました。

さらに1997年には、1978年に新京成に譲渡され、1990年まで使用されていた200形の1両が京成に買い戻され、京成時代の車体に復元後、青電塗装を施されて静態保存されています。この車両は、現在も大切に保管されており、往年の姿を偲ぶことができます。

新京成電鉄へ京成から譲渡された車両は、青電塗装のまま運行されていたものも存在しましたが、後年に殆どの車両が同社独自の新京成マルーンとキャンディピンクの塗装となりました。また、銚子電気鉄道の旅客用車両も、1972年にデハ501の入線をきっかけにベージュとローズピンクに塗色変更される以前は、塗料の融通を受けていた関係から京成青電色となっていました。

2009年には、京成電鉄100周年の記念事業として、青電色を纏ったことのなかった3300形が青電色に塗り替えられ、同年6月30日から2013年2月18日まで運用されました。このリバイバル塗装は、往年のファンだけでなく、若い世代の鉄道ファンにも大きな反響を呼びました。この3300形は、3356編成の廃車に伴い、その役目を終えました。

窓周りのライトグリーン塗装は、時代によって僅かに異なっていました。1950年代は薄い緑、1960年代前半から中頃まではややスカイブルーを混ぜたような色、1960年代後半以降はカーキ色に近い色となりました。200形保存車両や3300形の復活塗装車両の窓周りの色は、1950年代の青電制定当時の色が再現されています。

青電塗装となった車両

100形・126形（戦災復旧車・更新車含む）
200形（更新車含む）
210形（更新前）
500形・510形（戦災復旧車・更新車含む）
220形（更新車含む）
210形（更新車）・2000形（更新車）・2100形
600形（更新車含む）
700形・2200形
750形・2250形
1500形
1600形（更新車クハ1603）
初代3000形（最初期のみ）
3300形（リバイバルカラー）

参考文献

『鉄道ピクトリアル』 1997年1月増刊号　京成電鉄特集（電気車研究会）
『鉄道ピクトリアル』 2007年3月増刊号　京成電鉄特集（電気車研究会）
石本祐吉　『京成青電ものがたり』、RM LIBRARY 153、2012年

関連項目

赤電 (京成)
緑1号
緑9号
青緑1号
青緑4号
淡青1号
淡青2号
灰緑色3号
東急グリーン
グリーン車 (京王)
京阪グリーン
南海グリーン

京成電鉄の青電は、昭和の時代を駆け抜けた、人々の記憶に残る名車です。その緑色の車体は、今もなお、多くの鉄道ファンに愛されています。

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