靖国神社法案

靖国神社法案の概要と経緯

靖国神社法案（やすくにじんじゃほうあん）は、日本で靖国神社を国が管理することを目的とした法律案です。この法案は、神社を政府の管理下に置き、国が英霊に対する慰霊行事を実施し、役員の人事に介入することを定めています。また、関連する経費の一部を国が負担および補助することも規定されています。

法案の内容には、政教分離の原則を守るために、靖国神社の地位を宗教法人から特殊法人に変更し、神道の儀式から宗教的要素を排除することが含まれています。この措置を受けて「この法律において『靖国神社』という名称を用いたのは、同神社の歴史的背景を踏まえたもので、宗教団体としての位置づけを持つものではない」と明記されています（第2条）。さらに、「靖国神社は特定の教義を持つ宗教活動を行ってはならない」という条項もあります（第5条）。

この法案を支持する団体には全国戦友会連合会や日本遺族会などがあり、彼らは「靖国神社の国家護持」を求めるために2000万筆の署名を集めました。しかし一方で、左派からはこの法案が戦前の状況を再現するものとして反対されており、他の宗教団体も国による特別な扱いに異議を唱えています。

法案の提出経緯

靖国神社を国が管理するための運動は、主に神社本庁や日本遺族会により行われてきました。1964年には自民党に「靖国神社国家護持に関する小委員会」が設置され、法案についての議論が開始されました。1969年から1972年にかけて自民党から毎年議員立案の形で提出されましたが、いずれも廃案となってしまいました。

具体的な経過としては、以下のような流れがあります。

• - 1969年6月30日: 自民党が初めて法案を国会に提出しましたが、会期の終了により廃案となりました。
• - 1970年4月14日: 再度法案が提出されましたが、またもや会期終了に伴い廃案に。
• - 1971年1月22日: 第65回国会において3度目の試みがありましたが、同様に廃案となりました。
• - 1972年5月22日: 第68回国会でも渡されたが、再び廃案となりました。
• - 1973年4月27日: 第71回国会において5度目の法案が提出され、最終的に衆議院での可決を経た後も参議院で扱われず、廃案になりました。

このように、靖国神社法案は提出が繰り返されるも、その都度廃案となってきました。

反対の声

1969年には、法案の提案に対する反対の動きが顕著となり、様々な宗教団体が反対の声を上げていました。仏教系、キリスト教系など、多くの団体が法案に対する要望書を提出しています。

例えば、浄土真宗連合や日蓮宗などの仏教系団体、そして日本基督教団や日本聖公会などのキリスト教団体がその一例です。また、創価学会も独自に反対の意向を示しています。これらの団体は、靖国神社の国家管理が宗教の自由に反すると考えています。

まとめ

靖国神社法案は、日本において長年にわたって議論されている法案であり、国家による宗教施設の管理を巡る問題です。支持者と反対者の意見が対立している中、この法案が今後どのように進展するかは注目されています。

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