非公務員化

非公務員化：公務員の身分を離れる機構改革

国家公務員法や地方公務員法の適用を職員から除外する機構改革手法を「非公務員化」といいます。これにより、公務員だった職員は民間人の身分となります。

非公務員化は、組織形態の変更を伴う場合（例：日本郵政公社の民営化）と、伴わない場合（例：独立行政法人の非公務員化）があります。本稿では、主に国家公務員の非公務員化について解説します。

独立行政法人における非公務員化

独立行政法人は、行政執行法人、中期目標管理法人、国立研究開発法人の3種類に分類されます。行政執行法人の職員は国家公務員ですが、残りの2種類は国家公務員ではありません。しかし、組織形態や権限に違いはありません。

独立行政法人の非公務員化は、組織形態を変えずに、職員への法令適用を変える措置です。行政執行法人の職員は、国家公務員とされますが、国家公務員法の一部は適用されません。具体的には、給与、勤務時間、休暇に関する法律の規定などが適用外です。

非公務員化の効果と財政への影響

非公務員化は、組織運営の柔軟性向上に繋がるという意見もありますが、給与や勤務時間などは既に多くの独立行政法人で弾力的に運用されています。非公務員化の真の効果は、職員個人の自由度向上にあります。

具体的には、政治活動の制限撤廃、倫理法の適用除外による私企業との自由な接触、兼業の許可、服務規律の撤廃、ストライキ権の行使などが挙げられます。使用者側も、職員の任用、降任、休職、免職に関して、公務員特有の制限がなくなります。

財政面では、非公務員化によって直接的な財政削減効果はありません。むしろ、雇用保険料や労災保険料の事業主負担増加により、財政支出が増える可能性があります。職員への雇用保険料負担も、可処分所得の減少につながり、所得補填すればさらに財政負担が増加します。また、採用方法の変更に伴うコスト増加も懸念されます。

行政改革推進法と非公務員化

行政改革推進法は、非公務員化を行政改革手法の一つとして位置づけています。しかし、前述の通り、人件費削減効果はありません。むしろ、人件費増加につながる可能性が高いのです。

非公務員化とみなし公務員

非公務員化された組織の職員には、「みなし公務員」規定が設けられることが多いです。これは、刑法上の罰則を公務員と同様に適用するもので、公文書偽造や公印偽造などの罪が成立します。しかし、国家公務員法上の罰則は適用されません。

また、非公務員化された組織の職員が国家公務員宿舎を使用できるかどうかは、個別法による国家公務員宿舎法の適用有無によって決まり、みなし公務員であることとは関係ありません。

まとめ

非公務員化は、組織改革の一手法ですが、必ずしも人件費削減や組織運営の効率化に繋がるわけではありません。職員の自由度向上という側面が強く、財政面では増加の可能性も考慮する必要があります。みなし公務員規定との違いも理解しておくことが重要です。

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