鞴

鞴（ふいご）とは

鞴（ふいご、英: bellow）とは、密閉された空間の体積を変化させることで空気の流れを生み出す装置です。主に、金属の加工や精錬など、高温が必要となる場面で燃焼を促進する目的で使用されます。小さなものでは鍛冶屋で使われるものから、たたら製鉄で用いられる足踏み式の「蹈鞴（たたら）」まで、様々なサイズや構造のものが存在します。

鞴の構造

鞴は、気密性を保ちながら体積を変化させるための様々な構造を採用しています。以下に主な構造の種類を説明します。

皮袋式: 単純な皮袋を用いるもので、空気を出し入れすることで送風します。
蛇腹式: アコーディオンのように伸縮する蛇腹構造で、開閉によって空気の流れを作ります。多くの場合、片開きの蛇腹で、開く際に吸気し、閉じる際に排気します。
箱鞴式: 長方形の箱の中にピストンとなる板を上下させ、シリンダーのように空気を押し出す構造です。
クランク式: 回転式の原動機と組み合わせて使用できるよう、クランク機構を利用した作動方式もあります。

これらの構造はいずれも、空気の流れを一方向に保つための逆止弁を備えています。これにより、吸気口から排気したり、排気口から吸気したりする逆流を防ぎ、効率的な送風を可能にしています。

蛇腹式鞴の詳細

一般的な蛇腹式鞴は、下部にある2つの取っ手を両手で持ち操作します。片開きの蛇腹を広げると、吸気口から空気が吸い込まれ、押し縮めると上部のノズルから空気が排出（送風）されます。吸気口とノズルには弁構造が備わっており、空気の逆流を防ぎます。

蛇腹式鞴は、吸気と排気を交互に行うため、連続的な送風はできません。しかし、複数の鞴を組み合わせ、交互に吸排気させることで連続的な送風が可能です。

箱鞴の詳細

箱鞴は、箱の中に2組ずつの吸気弁と排出弁が組み込まれています。板を直角につけた棒をピストンのように押し引きすることで、吹き出し口から風を送り出します。構造としては、シリンダーとピストンによるポンプの原理と同様です。

鞴の用途

鞴と同様の構造を持つ送風装置は、様々な用途で用いられています。特に楽器の分野で多く見られ、リードオルガンの足踏み式の鞴や、アコーディオンの送風機構などが代表例です。古くは、パイプオルガンの送風にも大型の鞴が用いられ、複数人が人力で送風することで演奏を可能にしていました。また、特殊な例としては、エアソフトガンの発射機構（バルクヘッド式）にも採用されています。

鞴の特徴

鞴は、ファンなどの他の送風装置と比較して、以下の特徴があります。

メリット:
送風圧を大きくしやすい。
送風圧の調整が容易。
人力での操作が簡単。
デメリット:
動作速度を上げるのが困難。
大きな送風量を確保するためには、気室を大きくする必要がある。

これらの特徴から、鞴は特定の用途において、優れた送風装置として活用されています。

その他の情報

関連語句としては、送風機（ブロワー/ブロワ）、バグパイプなどが挙げられます。

鞴についてより深く知りたい場合は、以下の外部リソースを参照してください。

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