韓国正教会

韓国正教会大教区の概要



韓国正教会大教区は、コンスタンティノープル総主教庁に属する韓国における正教会の主要な教区です。この教区は、ソウル特別市に位置する聖ニコラオス大聖堂を府主教座聖堂としており、2018年の時点で約4,000人の信徒が所属しています。また、韓国正教会の維持には、運営財団法人としての役割を果たしている「韓国正教会維持財団」が関わっています。

歴史的背景



韓国の正教会の歴史は、1900年に遡ります。当時、掌院クリサントス・セトコフスキーが韓国に赴き、在韓ロシア人及び韓国人正教徒のための牧会を開始しました。1903年には漢城府に聖ニコライ聖堂が設立され、伝道活動が広がりました。この初期の段階において、教会はサンクトペテルブルク府主教区およびウラジオストク主教区に属していました。

しかし、1917年ロシア革命により、教会の支援が断たれ、多くの困難に直面することとなります。1921年には東京大主教区の管轄下に入りましたが、1940年には日本の法律によってロシア人聖職者の地位が制限される中、韓国では1949年までロシア人聖職者が教会を導いていました。

さらに1950年に勃発した朝鮮戦争によって、教会は大きな打撃を受け、唯一の神品であったアレクセイ金義漢が北朝鮮に拉致されることにより完全に活動停止に追い込まれました。しかし、ギリシャ軍の司祭たちによる支援があったことで、聖ニコライ聖堂の修復などが行われました。1955年には、教区の枠組みを新たに変更し、コンスタンティノープル総主教庁の管轄下に移ることが決定されました。

コンスタンティノープル総主教庁管轄下



1956年からはアメリカ大主教区の管理下に入り、韓国正教会は新たな発展を迎えます。1968年には新たに購入した麻浦区の土地にソウル聖ニコラオス大聖堂が建設され、その基盤が固まりました。この後、1970年にはニュージーランド府主教区への加入を経て、1975年から1980年にかけて、韓国の主要部への宣教活動が開始されました。

2004年には、初めての独立府主教区として韓国大教区が設立され、ソテリオス主教が府主教に就任しました。現在の府主教はアンヴロシオスです。コンスタンティノープル総主教のヴァルソロメオス1世も頻繁に韓国を訪問しており、正教会の活動に対する重要な支援を行っています。

北朝鮮における正教会



韓国の南北分断後、北朝鮮においては正教会が長い間公認されることはありませんでしたが、2006年には平壌直轄市にロシア正教会の至聖三者聖堂が公認され、教会活動が一部再開されました。

現在の現況



現在、韓国正教会には8つの聖堂と2つの礼拝堂、2つの修道院があります。特に、仁川聖パブロス聖堂や釜山生神女福音聖堂などが重要な信仰の拠点となっています。また、定期的に『正教会週報』を配布し、信徒への情報提供を行っています。教会の活動は、韓国国内の多様な地域においても展開され、信者たちの信仰を支えています。

韓国正教会はその長い歴史を経て、現在もなお成長を続けており、信徒たちの献身によってその活動が支えられています。

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