韓国海軍レーダー照射問題

韓国海軍レーダー照射問題とは

2018年 12月20日、能登半島沖の日本海で発生した、韓国海軍の駆逐艦「広開土大王」による海上[[自衛隊]]P-1哨戒機への火器管制レーダー照射疑惑事件です。日本政府は、この行為を「攻撃を意図した危険な行為」として韓国政府に抗議しました。しかし韓国側は、「探索レーダーを使用しただけであり、遭難した北朝鮮船の捜索活動中だった」と主張し、両国の主張は真っ向から対立しました。

事件の概要

事件は、日本の排他的経済水域（EEZ）内にある大和堆付近で発生しました。海上[[自衛隊]]のP-1哨戒機が、韓国海洋警察庁の警備艦「参峰」やその搭載艇、そして韓国海軍駆逐艦「広開土大王」などを視認しました。その後、日本側は「広開土大王」から火器管制レーダーの照射を受けたと主張していますが、韓国側はこれを否定しています。

日本側の主張

防衛省は、この件を「韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案」として公表しました。P-1が日本のEEZ内を飛行中、「広開土大王」から火器管制レーダーの照射を突然受け、危険を感じて離脱したと述べています。また、日韓両国が合意している海上衝突回避規範（CUES）では、レーダー照射は攻撃の模擬とされており、避けるべき行為であると強調しています。防衛省の専門部隊による解析の結果、「広開土大王」の火器管制レーダーからのレーダー波が、複数回、一定時間継続して照射されていたことを確認したとしています。さらに、無線での呼びかけに応答がなかったことも問題視しています。

韓国側の主張

一方、韓国国防部は、遭難した北朝鮮船の救助活動中に、日本の哨戒機が低高度で接近し、威嚇飛行を行ったと主張しています。P-1は「広開土大王」の150メートル上空、500メートルの距離まで接近したとしています。また、探索レーダーを使用していただけで、火器管制レーダーは使用していないと主張しています。さらに、P-1が火器管制レーダーの照射を受けたにもかかわらず、回避行動を取らずに再度接近したことを不自然であると指摘しています。無線交信に関しても、雑音が激しく明確には聞こえなかったとしています。そして、日本側が主張する火器管制レーダーの証拠があれば提示するべきだと主張し、日本側の謝罪を求めています。

両国が公開した資料

事件後、両国はそれぞれ映像や音声などの資料を公開し、自らの主張の正当性を訴えました。

日本側が公開した資料

P-1が撮影した事件発生時の映像
レーダーの電波信号を音に変換した音声データ

これらの資料から、防衛省は「広開土大王」から火器管制レーダーが照射されたと断定しました。

韓国側が公開した資料

日本の主張へ反論する動画

この動画では、自衛隊機へのレーダー照射を否定し、逆に自衛隊機が威嚇的な低空飛行をおこなったと主張しました。しかし、動画のサムネイル画像が加工されていたことが後に明らかになりました。

その後の経緯

2019年1月には、韓国軍内部で日本の航空機に対する対応指針が通達され、他国機に対しては行わない「追跡レーダー照射」が盛り込まれました。また、同年1月23日には、韓国政府が海上[[自衛隊]]機による「威嚇飛行」を主張し、両国の対立がさらに深まりました。

韓国軍の「日哨戒機対応指針」

韓国軍は、この事件を契機に、日本の哨戒機に対する新たな対処方針を策定しました。この指針では、警告通信に応じない場合、追跡レーダー照射を行うと規定しています。この指針は、中国やロシアの航空機には適用されず、日本の航空機のみを対象としたものでした。

その他の出来事

2024年6月には、日韓防衛相会談で再発防止策に合意しましたが、事実解明はなされないままとなっています。
田母神俊雄元航空幕僚長が「レーダー照射は危険ではない」という趣旨の発言をしたことが物議を醸しました。
2022年には、文在寅政権時の対応が「国家による国民に対する犯罪行為」と問題視されました。

結論

韓国海軍レーダー照射問題は、日韓間の防衛協力に深刻な影響を与えました。両国の主張は平行線をたどり、未だに真相は解明されていません。再発防止策は合意されたものの、両国関係には依然として課題が残っています。

韓国海軍レーダー照射問題