韓東勲

韓東勲(ハン・ドンフン、1973年4月9日-)は、韓国を代表する政治家であり、元検察官である。ソウル生まれで、名門のソウル大学校法科大学を卒業後、司法試験に合格。その後、空軍法務官を経て検察のキャリアをスタートさせた。

彼のキャリアは、韓国検察のトップである尹錫悦との深い繋がりによって特徴づけられる。尹錫悦の下で、数々の重要な事件捜査に関与した。SKグループの粉飾会計事件、大統領選挙資金疑惑事件、現代自動車の不正事件、韓国外換銀行のローンスター売却事件など、韓国社会を揺るがす大事件の捜査に携わり、その手腕を高く評価された。

検察官としての経験を積んだ後、李明博政権では大統領民情首席秘書官室に勤務。その後も、法務部検察課、大検察庁政策企画課長、ソウル中央地検公正取引租税調査部長、検察総長直属腐敗犯罪特別捜査団第2チーム長など、要職を歴任した。朴槿恵政権の国政介入事件の捜査では、特別検事チームのメンバーとして尹錫悦と共に活躍した。

文在寅政権時代には、ソウル中央地検長を務めた尹錫悦の下で、第3次長検事として反腐敗・特殊捜査を統括。李明博元大統領の不正事件や、梁承泰大法院長の司法行政権濫用疑惑など、権力者に対する大胆な捜査を行った。その後、検察総長に昇進した尹錫悦と共に、検察の改革を進めようとしたが、政権との対立が激化。曺国前法務部長官の親族に関する疑惑捜査を指揮したことで、秋美愛法務部長官から釜山高等検察庁次長検事に左遷された。さらに、チャンネルA事件に関与した疑いで法務研修院研究委員に左遷された。しかし、2022年4月、チャンネルA事件で無嫌疑処分を受けた。

2022年3月の大統領選挙で尹錫悦が勝利すると、韓東勲は新政権の法務部長官に任命された。国会の人事聴聞会では野党議員と激しい論戦を繰り広げ、高い知名度を得た。その後、与党・国民の力の次期総選挙出馬が期待された。各種世論調査では次期大統領候補の一人にも挙げられていた。

2023年12月、国民の力非常対策委員長に就任。法務部長官を辞任し、翌年の総選挙への不出馬を表明した。しかし、金建希女史（大統領夫人）に関する問題で、大統領室から非常対策委員長辞任を要求されたが拒否。2024年4月の総選挙で国民の力が大敗した責任を取り、非常対策委員長を辞任。その後、国民の力代表選に出馬し、勝利した。

韓東勲は、尹錫悦大統領と深い信頼関係を築きながら、検察と政界の両方を渡り歩いた異色の経歴を持つ人物。韓国の政治・社会に大きな影響力を持つ存在であり、今後の活動が注目される。彼の経歴は、韓国検察の歴史、そして政界における検察官の役割を理解する上で重要な視点を提供するだろう。

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