韓湘子

韓湘子（かん しょうし）

韓湘子は、中国で広く知られる八仙の一人であり、道教の神仙として崇められています。彼の物語は、唐代の文豪・韓愈との関係を中心に、奇跡的なエピソードに彩られています。

人物像

韓湘子の「湘」は名、「清夫」は字であり、「子」は男性への敬称です。八仙それぞれに対応する暗八仙は笛です。彼は韓愈の甥、具体的には韓愈の次兄・韓介の実子で、韓愈の長兄・韓会の養子である韓老成の子として生まれました。幼い頃から韓愈に養育されました。

勉学に励む兄弟たちとは対照的に、韓湘子は酒を好み、放蕩な生活を送っていました。20歳頃に忽然と姿を消し、しばらく経ってから、ぼろぼろの服を着て帰ってきます。韓愈が学問を勧めても、「私が学んでいることは、あなたとは違う」と答えるばかりでした。

奇跡と予言

韓湘子の伝説で最も有名なのは、草花を瞬時に咲かせる奇跡です。彼は土を盛った盆に牡丹を植え、その言葉通り、たちまち美しい花を咲かせました。しかし、その花びらには「雲は秦嶺に横たわりて家いずくにかある。雪は藍関を擁して馬進まず」という詩が書かれていました。韓愈が意味を尋ねても、韓湘子は「時が来ればわかる」と答えるのみでした。

819年、韓愈は憲宗の怒りを買い、潮州へ流罪となります。その道中、大雪に見舞われた韓愈の前に韓湘子が姿を現し、以前に咲かせた牡丹の花びらに書かれていた詩が的中したことを告げます。韓愈が地名を尋ねると、そこはまさに藍関でした。この出来事に感銘を受けた韓愈は、その詩に語句を付け足し、韓湘子に贈りました。

さらに、宿場に着いた韓湘子は、韓愈に一粒の薬を渡します。「瘴気の立ち込める土地では、健康を害しやすいでしょう。この薬を飲めば、瘴気を防ぐことができます」と言い残し、韓湘子は去っていきました。その後、韓湘子の予言は全て現実のものとなったと伝えられています。

師について

韓湘子の師については諸説あり、呂洞賓や漢鍾離であるという説や、洪涯先生という説も存在します。

参考文献

『中国古典文学大系24　六朝・唐・宋小説選』平凡社、前野直彬／訳－『青瑣高議』中、『韓湘子の物語』
東遊記（開放文学）（中文）－「湘子造酒開花」、「救叔藍関掃雪」

外部リンク

神仙列伝～八仙の巻～
Days...: 中国の仙人５

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