韓相龍

韓相龍（かん そうりゅう）

韓相龍（1880年10月16日 - 1947年10月30日）は、大韓帝国の実業家、官僚、政治家として知られ、特に日本統治時代の朝鮮財界の中心人物の一人として名を馳せました。彼は「朝鮮の渋沢栄一」と称され、その生涯を通じて多岐にわたる企業の設立や運営に関わりました。主な業績には、漢城銀行や東洋拓殖などの重要な金融機関の設立が含まれます。

人物背景

韓相龍は、李朝時代の漢城府（現在のソウル）で生まれ、名門両班の家系に育ちました。彼の家庭は優れた教育を受けた者が多く、親戚の中には内閣高官や軍部の大臣がいるなど、特権的な背景を持っていました。彼は1896年に英語学校に入学し、その後日本に留学しますが、これは財政的な理由から変更された経緯があります。留学中、彼は多くの開化派とも交流をもち、日本士官学校で学びながらも、病気により早々に帰国することになります。

官僚及び実業家としてのキャリア

帰国後、韓は公務員としてのキャリアをスタートさせます。最初は私立学校で教員として働き、次第に宮内府の職務に就きます。この頃、彼は日本の実業家渋沢栄一との関係を築き、漢城銀行の再建に携わることになります。特に日露戦争中、彼はその親日的な立場から野津少佐などの影響を受け、日本による統治を受け入れる立場を取ります。

1910年に大韓帝国が日本に併合されると、韓は漢城銀行の専務取締役に就任します。彼は日本統治下での経済政策に関与し、台湾視察を通じて朝鮮の産業発展の遅れを実感し、その後もさまざまな企業での活動を続けます。

また、1920年代には自らの名のもとに朝鮮実業倶楽部を設立し、同時に朝鮮生命保険の設立に関与しています。これにより彼は、朝鮮人実業家たちの仲介役として重要な役割を果たしました。

財界での没落と再生

しかし、社会の変動と共に金融面での危機も訪れます。漢城銀行は大震災や金融恐慌の影響を受け、彼は頭取に就任するも厳しい状況に直面します。結果として、彼は取締役に降格されるとともに、政治的にも難しい立ち位置を強いられることとなります。それでも、彼は朝鮮信託を立ち上げ、再び財界に戻ることを目指す姿勢を見せました。

政治的活動と評価

1930年代からは、朝鮮総督府や関東軍の顧問としての立場を確立し、国防に関与するなどの活動を展開。彼の行動は、朝鮮内での協力を促し、戦争協力へとつながっていきました。日本敗戦後、韓は親日派として反民族行為を認定されることとなりますが、彼の活動は当時の朝鮮社会に大きな影響を与えました。

死後の評価

韓相龍は「朝鮮財界の縮図」と評され、彼の歩みは当時の歴史を知るための重要な鍵とされています。彼の生涯は、財界と政治が交錯し、複雑な時代背景を反映したものとなっています。

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