韮山城

韮山城とは

韮山城（にらやまじょう）は、現在の静岡県伊豆の国市韮山に位置していた、室町時代末期から安土桃山時代にかけての日本の城です。この城は、丘陵を利用した平山城として築かれ、その独特な構造が特徴です。別名「龍城」とも呼ばれています。

歴史

築城年については諸説ありますが、有力なのは文明年間（1469年～1486年）に、堀越公方足利政知の家臣であった外山豊前守によって築かれたとする説です。また、城内に鎮座する熊野神社の勧進年代から、1500年頃までには完成していたと考えられています。

当初は小規模な城でしたが、1491年に伊勢盛時（後の北条早雲）がこの地を支配下に置くと、後北条氏の関東進出の拠点として大規模な改修が行われました。早雲は韮山城を本拠地とし、伊豆の支配を確立。その後、相模へ勢力を拡大した後も、小田原城へ移ることなく、生涯この城を居城としました。

その後も韮山城は、後北条氏にとって重要な拠点であり続けました。永禄時代末期には、北条氏康の四男である氏規が城主となり、伊豆支配の中心を担いました。1570年には武田信玄の侵攻を受けますが、氏規はこれを守り抜きました。

1590年、豊臣秀吉による小田原征伐では、韮山城は大きな戦場となります。織田信雄の軍勢が迫る中、氏規は城に籠城し、約3600の兵で5万の豊臣軍を相手に、約100日間も抵抗しました。しかし、徳川家康による交渉の結果、ついに開城。この戦いは、韮山城の歴史における重要な転換点となりました。

小田原征伐後、韮山城は徳川家康の家臣である内藤信成の居城となりましたが、1601年に廃城となり、その歴史に幕を閉じました。

現在、韮山城の敷地のほとんどは、かつての韮山代官であった江川家の所有となっています。また、2005年には、地元の韮山高校OBを中心に「韮山城を復元する会」が発足し、城の復元に向けた活動が行われています。

城の構造

韮山城は、丘陵の地形を利用した典型的な平山城で、複数の曲輪が連なる構造を持っています。現在でも、曲輪や土塁の跡が残り、散策路として整備されています。武家屋敷や政庁の位置は正確には分かっていませんが、韮山高校の敷地内に「御座敷」という地名が残っており、過去の発掘調査によって井戸や園池の跡、屋敷跡と考えられる遺構が発見されています。これらの発見は、かつての城の姿を解き明かす手がかりとなっています。

現在の韮山城

現在は城郭のほとんどが失われていますが、土塁や堀の一部が残り、歴史を感じさせる景観となっています。散策路も整備されており、城跡を巡りながら、当時の様子を想像することができます。

韮山城は、戦国時代の歴史を語る上で重要な史跡であり、地域の人々によって大切に守られています。

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