韮崎大村美術館

韮崎大村美術館：ノーベル賞受賞者が築いた、女性芸術家の宝庫

山梨県韮崎市に位置する韮崎大村美術館は、有機化学者であり、女子美術大学名誉理事長も務めた大村智博士によって設立された、珠玉のコレクションを誇る美術館です。2007年、博士の生家の近くに、私財を投じて建設され開館。翌年には、収蔵作品と共に韮崎市に寄贈されました。現在も大村博士が館長を務めています。

美術館の所蔵品は約2500点以上。絵画、陶磁器など多岐に渡る作品群は、大村博士の深い造詣と情熱の結晶です。特に、博士が女子美術大学と関わりが深かったこともあり、女性芸術家の作品が数多く収蔵されている点が大きな特徴となっています。

常設展示には、日本を代表する女性芸術家の作品が多数展示されています。

日本画家としては、上村松園、小倉遊亀、片岡球子、荘司福、堀文子といった巨匠たちの作品が鑑賞できます。これらの作家は、いずれも女子美術大学（またはその前身である女子美術専門学校）と深い繋がりを持つ、重要な芸術家たちです。

洋画家では、鈴木信太郎（専用ブースでの展示）、三岸節子などの作品が並びます。

彫刻家では、多田美波（女子美術専門学校出身）、津田裕子（女子美術短期大学卒、女子美術大学名誉教授）といった、現代彫刻史において重要な役割を果たした作家たちの作品を見ることができます。

陶芸家の作品も充実しており、島岡達三、濱田庄司、原田拾六といった巨匠たちの作品も展示されています。

2008年からは、女子美術大学美術館と相互協力協定を結び、美術資料の相互活用も行っています。この協定は、両館のコレクションをより深く理解し、研究・展示活動の充実を図る上で重要な役割を果たしています。

美術館を訪れる楽しみをさらに広げる要素として、併設施設も魅力的です。大村博士が私財を投じて掘削・建設した日帰り温泉施設「白山温泉」と蕎麦処「上小路」は、美術館鑑賞の疲れを癒すのに最適な場所です。

2015年、大村博士がノーベル生理学・医学賞を受賞した際には、その功績を記念して、10月6日から13日まで無料公開されるという、地域を挙げての祝祭となりました。

韮崎大村美術館は、単なる美術館という枠を超え、地域社会に貢献する文化施設として、その存在感を増しています。女性芸術家の作品を豊富に鑑賞できるだけでなく、併設温泉や蕎麦屋でのんびりとした時間を過ごせる、充実した一日を過ごせる場所と言えるでしょう。 大村博士の深い造詣と、地域への貢献の精神が息づく、魅力あふれる美術館です。

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