音楽の稽古

『音楽の稽古』

『音楽の稽古』（おんがくのけいこ、蘭: De muziekles、英: The Music Lesson）は、オランダの画家ヨハネス・フェルメールが1662年から1665年の間に制作した油彩画です。この作品は、イギリス王室の美術品コレクションとして知られるロイヤル・コレクションに収蔵されており、ロンドンのセント・ジェームズ宮殿に展示されています。

歴史的背景

『音楽の稽古』は、フェルメールの主要な支援者であった商人ピーテル・ファン・ライフェンのコレクションの一部でした。ファン・ライフェンが亡くなった後、この絵画は彼の女婿であるヤーコプ・ディシウスによって受け継がれました。ディシウスは1695年に亡くなると、彼の遺品のオークションが1696年に開催されました。このオークションにて、画家ジョヴァンニ・アントニオ・ペレグリーニがこの絵画を購入することになります。

ペレグリーニの後、この作品はジョセフ・スミスの所有物となり、161以後、イギリス王ジョージ3世のもとに引き継がれることになります。しかし、興味本位から作品を購入したわけではなく、実際にはジョージ3世が特に望んでいた書物が一緒に売りに出されたことが動機でした。このため、王は『音楽の稽古』も購入せざるを得なくなりました。

興味深いことに、当初は、この作品が当時の他の画家、フランス・ファン・ミーリスによるものであると誤って理解されていました。これは作品に記された署名の読み間違いによるもので、後に1866年、フランスの美術史家テオフィル・トレ・ビュルガーによってフェルメールの真作と認定されました。

作品の特徴

『音楽の稽古』は、女神の前に楽器を演奏する女性と、彼女を見守る男性の姿が描かれています。画面の中で音楽が流れる瞬間を捉えたような静謐な雰囲気が漂っており、フェルメール特有の明るい色合いや光の使い方が際立っています。この作品は、音楽だけでなく、静かな生活の美しさや人々の内面にもスポットライトを当てています。

結論

『音楽の稽古』は、フェルメールの優れた作品のひとつであると同時に、その運命や歴史が多くの物語を秘めています。オランダ黄金時代の画家としての彼の名声や影響力を考えると、この作品が持つ芸術的価値をさらに深く理解することができるでしょう。ロイヤル・コレクションに所蔵されるこの絵画は、美術愛好家にとっても、歴史に興味を持つ人々にとっても魅力的な存在であり続けています。

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