音楽の風車

音楽の風車（おんがくのかざぐるま）

『音楽の風車』は、山陰放送（BSSラジオ）が1954年の開局と同時にスタートさせた、歴史あるラジオ番組です。山陰地方において最も長く放送が続いているリクエスト番組として知られ、特別な事情がない限り、元旦から大晦日まで年間を通じて休むことなく放送されています。その長きにわたる歴史の中で、2008年12月6日には放送回数が記念すべき20000回を突破しました。

番組の特色と内容

この番組の根幹は、リスナーからの「ご希望曲」、すなわちリクエスト曲を受け付け、放送することにあります。取り扱う楽曲のジャンルは非常に幅広く、最新のJ-POPから、人々の心に長く寄り添ってきた演歌や懐かしいメロディー、そして発売されたばかりのニューリリースまで、多岐にわたる邦楽がオンエアされます。ただし、洋楽に関してはリクエストを受け付けていません。リクエストの方法は、現在ではメール、FAX、ハガキが主流となっています。過去には同じ時間帯で電話でのリクエストも可能でしたが、現在は廃止されています。

通常は日中帯に放送されていますが、ごくまれに夜間に特別番組として編成されることがあります。また、開局から数えて5年ごとの節目にあたる年には、開局記念番組として『音楽の風車スペシャル』と題した長時間特別番組が放送されることもあります。1997年に境港市で開催された「夢みなと博覧会」の期間中には、会場内に設けられた特設スタジオから公開放送も行われました。

番組内で流れる楽曲は、原則としてフルコーラスで放送されるのが特徴です。1回の放送でオンエアされる曲数は、平日はおよそ19曲、土曜日と日曜日はおよそ15曲程度です。曲と曲の間にはCMが挿入されることがありますが、CMが入らない場合もあります。ただし、放送時間の終了が迫っている場合や、定時ニュースの直前にかかる楽曲は、途中でカットされる傾向が見られます。

特定のレギュラーコーナーは設けられていませんが、時間の都合に合わせて天気予報が放送されることがあります。また、2008年3月までは定時ニュースの放送はありませんでしたが、現在では平日のみ、11時55分から定時ニュースと気象情報が伝えられています。オンエアされるリクエスト曲は、男性歌手の楽曲と女性歌手の楽曲が交互に流れるように配慮されています。男性と女性のメンバーがいるグループやバンドの場合、主にボーカルの性別を基準としているようです。

放送時間の変遷と現状

放送時間は基本的には決まっていますが、自社制作の特別番組（全国高等学校野球選手権鳥取大会の実況中継など）や、他局制作のネット番組（箱根駅伝や防災の日スペシャルなど）が編成される場合は、時間を変更して放送されます。放送時間変更時には、平日であれば同時期に放送される帯ワイド番組を休止、土曜日や日曜日であればTBSラジオ制作の生放送番組のネットを臨時に返上して対応しています。

過去の放送時間に関する変遷は多岐にわたります。2015年4月以降、日曜日の本放送が11:00〜12:30に変更され、2016年3月末からは平日の放送時間が11:00〜12:55となりました。土曜日の放送時間も2016年10月からは11:00〜12:55でしたが、2020年10月からは12:25までに短縮されています。

また、再放送の編成も変化してきました。2010年4月からは、それまでネットしていたニッポン放送の番組に代わり、平日の本放送分を22:00から再放送するようになりました（後に時間変更あり）。2011年10月からは日曜日の本放送分も夜に再放送されるようになります。2018年10月には再放送枠がさらに変更されましたが、2024年3月末をもって、金曜本放送分を扱っていた日曜夜の再放送が終了しました。2024年4月からは、金曜分は翌週月曜に再放送され、土曜日・日曜日の本放送分は再放送されなくなりました。かつて日曜日は収録放送でしたが、2024年4月7日からは生放送に変更されています。日曜日の担当アナウンサーは、他の番組や定時ニュースも兼務しています。

テーマ曲とオープニング

番組開始以来、変わらず使用されているテーマ曲は、津村謙の「赤いマフラー」（オフヴォーカル、軽音楽キングオーケストラの音源）です。この曲は、お盆や年末年始に山陰地方へ帰省する多くの地元出身者にとって、故郷を懐かしく思い出させる存在となっています。また、山陰地方以外の地域で番組を聴くことができる人々にとっても、番組のテーマ曲として広く認識されており、共通の話題となることがあります。

毎回、番組の冒頭には、このテーマ曲をバックに以下のような挨拶のコメントが流されます。

「きょうも、きのうも、そしてあす（あした）も。あの町に、この村に、（吹き過ぎていくそよ風に乗って）クルクルと回る風車のように、人々の口から口へ、次々に歌われていく古い歌、新しい歌。皆様のご希望曲をお届けする"音楽の風車"のお時間です。きょうもお昼前のひと時、どうぞごゆっくりお楽しみ下さい…」

ただし、括弧内の「吹き過ぎていくそよ風に乗って」の部分は、毎年11月から翌年3月までの下半期には冬バージョンとして「行き交う七色のメロディーに乗って」という表現に変わります。

出演者

番組を担当するアナウンサーは、月曜日がフリーアナウンサーの山崎瑞穂氏（他の曜日を担当することもあります）で、火曜日から日曜日までは山陰放送所属のアナウンサーの中から日替わりで担当します。現在の主な担当者には、木野村尚子、桑本みつよし、大田祐樹、森谷佳奈、中島早也佳、宇田川修一、谷口篤史、丸山聡美といった方々がいます。

かつては女性アナウンサーやパーソナリティのみが担当していましたが、2005年8月23日以降は男性のアナウンサーやパーソナリティも担当するようになりました。ただし、それ以前にも「BSSまつり」などのイベント時や、「音楽の風車スペシャル」のような特別番組の際には男性アナウンサーが担当した事例があります。長年にわたり日曜日の担当を務めた坂口育子氏（元BSSアナウンサー）は、2020年12月をもって番組を卒業し、その後は宇田川修一氏が収録形式での放送を担当していましたが、2024年4月からの生放送化に伴い、担当体制も変更されています。

その他のエピソード

番組が放送休止となった例は非常に少なく、例えば1989年1月7日、昭和天皇の崩御に伴い放送が見送られたことがあります。これは番組が基本的に年中無休で放送されていることの証左と言えるでしょう。

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