音羽山 (相撲)

音羽山の歴史と伝説

音羽山（おとわやま）は、日本相撲協会において非常に重要な年寄名跡の一つです。その初代は、江戸の音羽町を由来にした四股名を名乗っていました。そのため、音羽山は相撲界において特別な位置を占めています。この名跡は、代々の力士たちによって受け継がれ、その中には多くの偉大な力士も含まれているのです。

初代音羽山の活躍

初代音羽山は、福島県の泉崎村出身であり、彼の人生は波乱万丈でした。若い頃に近村に婿入りし子供を持ちましたが、その子は早逝しました。さらに、26歳で力士の道に進むことになりました。音羽山は特に、白河藩主のお抱え力士として知られています。この背景は、彼の力士としてのキャリアに重要な意味を持ちます。

彼は、特に大関の雷電為右衛門との対戦で名を馳せました。雷電はその大きな体躯（197センチ、169キロ）を持っており、当時の力士の中でも一際目立つ存在でした。しかし、音羽山はその小柄な体を活かして、立ち合いで「オリャー！」と気合を発し、雷電の突きをかわしたと言われています。彼の巧みな足取りで膝を掴むと、全力で振り回して雷電を土俵に倒しました。この一戦は、観衆に強烈な印象を与え、後に「雷電は雲の上でゴロつく、音羽が山の下でゴロゴロ」と詠まれるほどの名勝負となりました。

小兵力士の強さ

音羽山の足取りは、その小柄な体型ながらも実に洗練されており、小兵力士たちの中でも特に得意な技でした。彼の特徴は、力士同士の接触であった立ち合いから、相手を土俵外に押し出す技術にありました。雷電との戦いでも、この技が効果を発揮しました。以降、音羽山はその気合と技術によって多くの対戦相手を圧倒していきました。

伝説とその後

音羽山の名声が高まる中で、彼に関する多くの伝説が生まれました。その中には、「め組の喧嘩」と呼ばれる出来事に関する手紙も存在しています。また、佐渡ヶ嶽との共演も彼の名声を確固たるものにしていきました。故郷の奥州街道沿いには改名後「雷峯右衛門」の碑が建てられ、観光名所となりました。この碑に手を合わせることは、現在も巡業の力士にとって重要な儀式となっています。

現在、この石碑は泉崎駅前に移転しており、訪れる人々はその場所を訪れることで、音羽山の偉業を思い出すことができます。音羽山の物語は、相撲界の歴史に刻まれており、後世に語り継がれています。

関連作品

音羽山に関する作品『関取音羽山物語』は、高久達英（ペンネーム：池月映）によって記されており、歴史春秋社から出版されています。これらの作品は、当時の相撲界の記憶を新たにし、音羽山の功績を称賛する内容となっています。彼の物語は、今もなお多くの人々に愛され続けています。

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