音響測定艦

音響測定艦の概要

音響測定艦（おんきょうそくていかん）は、主に潜水艦の探知を目的とした特殊な軍艦です。この艦艇は、アメリカ海軍ではT-AGOS（Auxiliary General Ocean Surveillance Ship）、日本の海上自衛隊ではAOS（Auxiliary Ocean Surveillance Ship）という艦種記号が与えられています。一般的に、音響測定艦は少ない武装で運用され、長距離での潜水艦探知が可能な曳航ソナーシステム（AN/UQQ-2 SURTASS）を搭載しています。

歴史的背景

アメリカ海軍は1940年代から海洋音波伝播に関する研究を行い、航空機の墜落時に搭乗員の位置を特定するためのシステムに活用しました。この研究は、低周波音の遠距離伝播が可能であることから、潜水艦の広域捜索にも役立つと考えられました。1960年代末には、SOSUS（Sound Surveillance System）として実戦配備され、パッシブソナーによる潜水艦の探知が重視されました。当時、原子力[[潜水艦]]の導入が進む中で、レーダーやアクティブソナーによる探知が難しくなり、代わりにパッシブソナーの活用が期待されるようになりました。

しかし、1970年代に入るとソビエト連邦が静粛性の高い新型潜水艦を配備することで、アメリカのパッシブ対潜戦システムの効果が薄れていきました。そこで、SOSUSに代わる機動的な対潜捜索システムが必要とされ、SURTASSが開発されました。この新たなシステムは、リニアアレイを用いた長距離探知の能力を持ち、1984年から正式に配備が開始されました。1985年には、SOSUSとSURTASSが統合され、統合水中監視システム（IUSS）が形成されました。

音響測定艦の運用

音響測定艦は、アメリカ海軍の軍事海上輸送司令部（MSC）の管理下で運用されています。主な任務は、SURTASSを用いて広域にわたる潜水艦の捜索です。この艦艇は、海洋監視に特化した設計になっており、主に情報収集や敵潜水艦の動向を把握する役割を果たします。

音響測定艦の種類

アメリカ海軍における音響測定艦はストルワート級、ヴィクトリアス級、インペカブル級など多様な級が存在します。

• - ストルワート級音響測定艦

- AGOS-1 ストルワート（USNS Stalwart）
- AGOS-2 コンテンダー（USNS Contender）
- AGOS-3 ヴィンディケイター（USNS Vindicator）
- （他、計10隻）

• - ヴィクトリアス級音響測定艦

- AGOS-19 ヴィクトリアス（USNS Victorious）
- （その他、数隻）

• - インペカブル級音響測定艦

- AGOS-23 インペッカブル（USNS Impeccable）
- AGOS-24 インテグリティ（USNS Integrity、建造途中で中止）

日本の海上自衛隊では、ひびき型音響測定艦が配備されており、これも潜水艦の探知を目的とした艦艇です。

国際的な運用

さらに、音響測定艦はアメリカ海軍以外にも他国で運用されており、中国人民解放軍海軍ではいくつかの艦艇が音響測定に特化しています。

結論

音響測定艦は、現代の海軍戦略において重要な役割を果たしています。潜水艦の探知能力を向上させるための技術的な進展と運用の工夫が求められる中、これらの艦艇はますます重要視されています。

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