順寧府

順寧府（じゅんねいふ）は、中国の歴史において、元代から民国初期にかけて存在した地方行政区画です。現在の雲南省臨滄市を中心とする地域に位置し、その変遷は中国の歴史と深く結びついています。

元代の成立と初期

順寧府の歴史は、1327年（元朝の泰定4年）に始まります。当時、雲南地方にいた蒲蛮（ほばん）が元朝に帰順したことを契機に、この地に順寧府、宝通州、慶甸県が設置されました。これは元朝による地方統治の一環であり、新たな行政区画の設置は、中央政権の支配を地方に浸透させるための重要な手段でした。

明代の変遷

元朝が滅亡し明朝が成立すると、順寧府の地位も変化します。1382年（明朝の洪武15年）には、宝通州と慶甸県が廃止され、順寧府は順寧州へと降格されます。しかし、この降格は一時的なものであり、1384年（洪武17年）には再び順寧府として昇格し、雲南省の管轄下に置かれました。この昇格は、明朝が地方行政の安定を図る上で、この地域の重要性を再認識したことを示しています。

1597年（万暦25年）には、大侯州が雲州と改称され、雲州と勐緬長官司が順寧府に編入されました。これにより、順寧府の管轄地域は拡大し、より広範囲の地域を統治することとなりました。この時期には、勐氏が土司として知府を世襲し、地方行政における土着勢力の重要性が増していました。

清代の統治

清代に入ると、順寧府は雲南省に属し、順寧県、緬寧庁、雲州、耿馬宣撫司を管轄するようになりました。この時代、順寧府は地方行政の中心としての役割を担い、それぞれの地域を統括しました。清朝の地方統治政策のもとで、順寧府は安定した行政運営を行っていました。

中華民国による廃止

1913年、中華民国が成立すると、順寧府は廃止されました。これは、新たな国家体制のもとで、地方行政区画が再編された結果です。順寧府の廃止は、長い歴史を持つ行政区画の終焉を意味し、その歴史は現代へと引き継がれています。

順寧府は、元代から民国初頭まで、中国の地方行政において重要な役割を果たした行政区画です。その成立から変遷、廃止までの歴史は、中国の歴史と深く結びついており、その存在は地方行政史を研究する上で貴重な資料となっています。

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