順行・逆行

逆行運動について

惑星や天体の運動は大きく二つに分けられます。一つは他の惑星と同じ方向に推移する「順行（じゅんこう）」であり、もう一つはその逆に動く「逆行（ぎゃっこう）」です。本記事では特に逆行について詳しく掘り下げていきます。

1. 逆行の概念

逆行とは、特定の天体が他の天体とは反対の方向に運動している状態を指します。この逆行は、天体そのものの実際の運動に起因する場合と、地球からの観測に基づく見かけ上の現象として理解されることがあります。

逆行運動が切り替わる際には、「留（りゅう）」と呼ばれる瞬間があります。この時、惑星の赤経方向の運動が停止し、その後逆行が始まるのです。

2. 天体の逆行運動

2.1 回転方向による逆行

天体の逆行は、天体の自転と公転の方向に関連しています。例えば、公転軌道の北極は右手の親指が向かう方向に定義され、通常、天体は反時計回りの軌道を持っています。しかし、逆行運動を持つ天体も存在し、異なる観点からその運動を記述することが可能です。例えば、衛星が公転軌道の傾きを持ち、逆行している場合、その軌道のパラメータを異なる数式で表現することができます。

2.2 公転の逆行

ほとんどの太陽系の天体は同じ方向で公転していますが、特に彗星などは逆行することが多いです。また、木星型惑星には、母惑星と異なる方向で公転する小衛星が多数存在します。これらの衛星の中には、多くが逆行軌道を持っているため、その数を数えることも天文学的には貴重なデータとなります。

2.3 自転の逆行

ほとんどの惑星は順行に自転していますが、金星や天王星などは例外です。例えば、金星は非常にゆっくりと逆行自転を行っています。天王星は公転軌道に対してほぼ横倒しに自転しており、通常とは異なる意味での逆行の状態にあります。

3. 見かけの逆行運動

地球から外惑星を観測すると、時折その運動が一時的に逆行しているように見えることがあります。これは地球が外惑星の周りを公転する際に、外惑星を追い越すことによって起こる現象です。この逆行が見えるタイミングは惑星ごとに異なり、火星の場合は約25.7ヶ月ごとに逆行が見られます。

4. 逆行の歴史的背景

古代の天文学者たちは、逆行の現象に困惑しました。このような逆行の運動は、惑星の名の由来の一つともなっており、見かけの逆行運動が理解されるまでかなりの時間を要しました。古代中国の天文学者もこの逆行現象に注目し、災いを示すものと捉えていました。

5. 逆行の例

特定の天体の逆行運動の例を以下に挙げます:

• - 金星：逆行自転
• - 木星の衛星：アナンケ、カルメ、パシファエ、シノーペ（逆行公転）
• - 土星の衛星：フェーベ（逆行公転）
• - 海王星の衛星：トリトン（逆行公転）

天王星は98°の自転傾斜角を持ち、形状によって実質的に逆行自転となっています。

まとめ

逆行は天体の運動における重要な現象であり、さまざまな観点から理解される必要があります。公転や自転の方向、見かけの運動など、多様な側面から天文学の奥深さが感じられるテーマです。

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