須玖遺跡群

須玖遺跡群について

須玖遺跡群（すぐいせきぐん）は、福岡県春日市に存在し、弥生時代を中心とする60以上の遺跡を含む巨大な遺跡の集まりです。この遺跡群は、王の墓や青銅器の生産跡を含んでおり、国の史跡に指定されています。また、古代の奴国の中心地としても重要な役割を果たしていたと考えられています。

遺跡群の位置と規模

須玖遺跡群は、JR南福岡駅の南西部、春日丘陵の北端に位置し、標高18.7メートルから37.3メートルの低台地に広がっています。その範囲は東西に約1キロメートル、南北に1.5〜2キロメートルにわたり、約20,000ヘクタールに及ぶとされています。これにより、弥生時代に関連する遺跡がほぼ隙間なく存在していることが特徴です。

須玖岡本遺跡の重要性

須玖岡本遺跡は、1899年に王の墓域が発見されて以来、度重なる発掘調査が行われました。京都大学や九州大学、福岡県教育委員会、春日市教育委員会などが参加し、この遺跡が弥生時代の集落の中心であり、青銅器生産工房などが存在していたことが明らかになっています。

その周囲には、須玖永田遺跡（日本初の弥生時代の青銅器生産工房跡）、須玖五反田遺跡（ガラス工房跡）、須玖坂本B遺跡（青銅器鋳造関連の遺物の発見）などが散在し、集積した文化が垣間見えます。

溝状遺構の発見

遺跡群の南部から西部にかけては、高辻遺跡、大谷遺跡、大南遺跡、竹ヶ本遺跡、赤井出遺跡などが存在します。これらの遺跡の間には連続した大規模な溝状遺構が確認されており、須玖岡本遺跡を中心とした環濠集落の存在が示唆されています。

奴国の先進文化

須玖遺跡群の北方には、比恵遺跡群や那珂遺跡群が詳細に広がり、青銅器生産遺構を有することから、弥生中期における奴国王の元での先進文化地帯であったと考えられています。

市内では、約430基のカメ棺が見つかる豆塚山を筆頭に、伯玄社、岡本、一の谷、原遺跡など、100を超える遺跡が確認されています。報告されているカメ棺は1700基近くに上りますが、長年の開墾や耕作により、多くの遺構が未確認のまま消失しています。

陶器と金属の生産

弥生時代中期から後期にかけて、須玖遺跡群の坂本地区や五反田地区では青銅器やガラス器の鋳造跡が発見されています。これらは奴国の官営工房と見なされ、王が原材料の輸入を独占し、自国内外の需要に応じた生産を行っていたと考えられています。青銅器の種類や用途は多岐にわたり、北部九州のみならず、西部中国や四国、さらには韓国南部からも多くの発見があることが確認されています。

まとめ

須玖遺跡群は、弥生時代の歴史と古代文化の痕跡を探求する上で極めて重要な遺跡です。長年にわたる研究によって、文化の形成や金属器生産技術の導入が明らかになり、日本の古代史における役割が再評価されています。須玖遺跡群は、今後も更なる研究と保存が求められる、貴重な文化遺産となっています。

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