須知徳平

須知徳平（すち とくへい）

須知徳平（本名：須知茂、1921年7月28日 - 2009年3月17日）は、昭和から平成にかけて活躍した日本の小説家、児童文学作家です。岩手県の豊かな自然の中で育ち、その経験が作品に色濃く反映されています。

生涯

須知徳平は1921年、岩手県に生まれました。國學院大學専門部を卒業後、軍隊を経て、岩手県や北海道の中学校、高等学校で教鞭を執りました。教員生活を通じて、子供たちの心に触れ、その経験が児童文学作家としての活動の原点となりました。その後、上京し、作家としての道を歩み始めます。

1962年、佐川茂名義で発表した『ミルナの座敷』で講談社児童文学作品賞を受賞し、作家としての地位を確立しました。同作品は、1972年にNHK少年ドラマシリーズとして映像化され、幅広い世代に親しまれました。1963年には、小林旭監督によって映画化された『春来る鬼』で、毎日新聞社主催の第一回吉川英治賞を受賞（現在の吉川英治文学賞とは異なります）。

作家活動の傍ら、盛岡大学教授も務め、後進の育成にも尽力しました。初期には怪奇小説を得意としていましたが、次第に歴史上の人物に焦点を当てた伝記作品を多く手がけるようになります。子供向けの伝記は、読みやすく、歴史を学ぶきっかけとして親しまれました。

2009年3月17日、心不全のため逝去。87歳でした。

作品の特徴

須知徳平の作品は、初期の怪奇小説から、児童文学、伝記、歴史小説まで、幅広いジャンルに及びます。共通するのは、人間に対する深い洞察と、温かいまなざしです。児童文学作品では、子供たちの成長や心の葛藤を丁寧に描き出し、読者に勇気と希望を与えました。伝記作品では、歴史上の人物の人間味あふれるエピソードを紹介し、子供たちが歴史を身近に感じられるように工夫されています。

主な著書

『ミルナの座敷』（講談社）
『春来る鬼』（毎日新聞社）
『アッカの斜塔』（東都書房）
『人形は見ていた』（東都書房）
『おーい先生』（秋元書房）
『カモシカ学級』（毎日新聞社）
『ゾウがいた古い日本』（千代田書房）
『日本のこわい話』（偕成社）
『日本の恐ろしい話』（偕成社）
『インカ帝国の悲げき ほろびゆく太陽神の王国の物語』（偕成社）
『日本のかっぱ話』（講談社）
『リンカーン』（集英社）
『妖怪ゆうれい物語 今昔物語ほか』（偕成社）
『日本神話集』（主婦の友社）
『ひとりぼっちのかわたろう』（小学館）
『野口英世』（主婦の友社）
『石川啄木』（集英社）
『日本の秘境』（三省堂らいぶらりい）
『日本人のルーツ』（三省堂らいぶらりい）
『宮沢賢治』（ぎょうせい）
『豊臣秀吉』（講談社）
『マルコ＝ポーロ』（ぎょうせい）
『源頼朝』（さ・え・ら書房）
『ながいながいひげの国』（佑学社）
『新渡戸稲造の生涯』（熊谷印刷出版部）
『福沢諭吉』（小学館）
『新渡戸稲造と武士道』（青磁社）
『ユーカラ物語』（ぎょうせい）
『もとめよ、さらばあたえられん 宗教家・思想家』（ポプラ社）
『北を守る馬』（青磁社）
『昨日、森影で』（ツーワンライフ）

関連項目

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* 児童文学作家一覧

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