須藤俊男

須藤俊男：日本の鉱物学を牽引した研究者

須藤俊男（1911年 - 2000年）は、20世紀を代表する日本の鉱物学者、地球科学者です。粘土鉱物学を専門とし、その研究成果は日本の地球科学の発展に大きく貢献しました。本稿では、彼の生涯、研究内容、そして日本の鉱物学への影響について詳細に解説します。

教育とキャリア

1911年、新潟県に生まれた須藤俊男は、東京帝国大学理学部鉱物学科を卒業後、母校で講師、助教授を務めました。その後、1948年に東京教育大学理学部教授に就任。1975年に定年退官し、名誉教授となりました。東京帝国大学、東京教育大学という日本の高等教育機関の中枢で長年にわたり教鞭を執り、多くの後進を育成したことは、彼の功績の一つと言えるでしょう。

研究内容と業績

須藤俊男の専門は粘土鉱物学です。粘土鉱物は、地球表層環境において重要な役割を果たしており、その構造や生成過程を解明することは、地球科学における重要な課題です。彼は、長年にわたり粘土鉱物の研究に没頭し、数々の重要な発見をしました。

特に注目すべきは、彼の名前にちなんだ2つの鉱物、「須藤石（sudoite）」と「俊男石（tosudite）」の存在です。特に俊男石は、緑泥石とモンモリロン石の混合層鉱物で、かつては独立した鉱物種とは認識されていませんでしたが、国際鉱物学連合（IMA）によって有効な鉱物種として認められました。これは、須藤俊男の鋭い洞察力と綿密な研究に基づいた成果と言えるでしょう。

著作

須藤俊男は、鉱物学、結晶学に関する多くの著書を執筆しました。その著作は、日本の鉱物学研究者にとって必携の書であり、長年にわたり多くの学生や研究者を育成する上で重要な役割を果たしました。彼の著作には、以下のようなものがあります。

『結晶学概論』
『鉱物化学』
『鉱物学概論』
『粘土鉱物』
『鉱物化学1 - 定性分析編』
『原色鉱物岩石図鑑』（柴田秀賢との共著）
『鉱物化学2 - 結晶化学編』
『鉱物学本論』
『結晶学概論』
『鉱物学入門』
* 『粘土鉱物学』

これらの著作は、今日でも鉱物学を学ぶ者にとって貴重な参考文献であり続けています。

家族

須藤俊男の父は哲学者である須藤新吉、弟は心理学者の須藤泰男です。学術一家として知られており、その家系からも、彼の知的な探究心の一端が伺えます。

まとめ

須藤俊男は、日本の鉱物学、地球科学の発展に大きく貢献した重要な研究者です。粘土鉱物学における彼の業績は高く評価されており、彼の名前にちなんだ鉱物が存在することからも、その功績の大きさがわかります。彼の著作は、現在でも鉱物学を学ぶ者にとって重要な参考文献であり、その影響は長く続くでしょう。 彼の研究は、日本の地球科学における基礎を築き、多くの後進の研究者を育成しただけでなく、鉱物学への理解を深める上で多大なる貢献を果たしました。須藤俊男の功績は、今後も日本の地球科学界に語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索