緑泥石

緑泥石の概要

緑泥石（りょくでいせき、英名: chlorite）は、ケイ酸塩鉱物の一群であり、多様な化学的成分と結晶構造を持つ鉱物です。主な化学式は (Mg,Fe,Mn,Ni)6-x-y(Al,Fe3+,Cr,Ti)y□x(Si4-xAlx)O10(OH)8 で表され、結晶系は単斜晶系または三斜晶系に分類されます。

成分と種類

緑泥石はその成分によっていくつかの種類に分かれます。代表的なものには以下があります：

• - シャモス石 (chamosite): (Fe,Mg,Fe3+)5Al(Si3Al)O10(OH,O)8 で、単斜晶系です。
• - クリノクロア (clinochlore): (Mg,Fe)5Al(Si3Al)O10(OH)8 で、単斜晶系です。
• - クーク石 (cookeite): LiAl4(Si3Al)O10(OH)8 で、こちらも単斜晶系です。
• - 斜方シャモス石 (orthochamosite): これもまた緑泥石の一種です。
• - ペナント石 (pennantite): (Mn,Mg)5Al(Si3Al)O10(OH)8 で、こちらも単斜晶系に属します。
• - 須藤石 (sudoite): Mg2(Al,Fe3+)3Si3O10(OH)6で、単斜晶系です。

これらの鉱物独特の性質が、緑泥石をさまざまな用途に適応させる要因となっています。

産出地

緑泥石は、主に有色鉱物の変質によって生成されます。特に、火成岩や緑色片岩、さらには緑泥石片岩に多く見られます。これらの地層は、特定の地質条件と鉱物的環境が組み合わさることで緑泥石の形成を助けます。

用途と加工法

古代のトランス・エラム文明では、緑泥石がそのまま輸出されるのではなく、加工されて多様な製品となりました。具体的には、容器や装飾板などの製品に加工され、「古式」クロライト製品（chlorite vessel）として知られています。これらは、その時代の文化や技術の証でもあり、重要な考古学的な意義を持っています。

主たる工房は、緑泥石の原石が採取される地域; テペ・ヤヒヤに存在し、そこで生産された製品は広範囲に流通しました。

参考文献および関連情報

緑泥石に関する情報は、黒田吉益や諏訪兼位の『偏光顕微鏡と岩石鉱物』などの文献に記載されています。さらに、ウィキメディア・コモンズには緑泥石に関連する資料が掲載されており、興味のある方はそちらも参照すると良いでしょう。

緑泥石は鉱物の中でも特異な性質と用途を持つ鉱物の一つで、その多様性は学術的にも商業的にも重要なテーマとなっています。

もう一度検索