須藤素

須藤 素（すどう もと）

概要

須藤素（1883年（明治16年）5月1日 - 1962年（昭和37年）12月16日）は、明治後期から昭和中期にかけて活躍した日本の官僚であり、後に地方自治体の首長も務めた人物です。主に朝鮮総督府の官僚として重要な役職を歴任し、統治下の朝鮮で地方行政を担う知事の地位に就きました。官界を退いた後には、故郷である福島県にゆかりのある若松市（現在の会津若松市）の市政を担う市長としても活動しました。

生涯

官界への道

須藤素は1883年（明治16年）5月1日、福島県に生まれました。詳細な出身地は若松（現在の会津若松市）とされています。帝国大学の門をくぐり、1907年（明治40年）に東京帝国大学法科大学の独法科を卒業しました。これは当時の日本のエリート官僚養成コースの一つでした。大学卒業と同時期には、高等文官試験に見事合格し、官僚としての第一歩を踏み出しました。初期のキャリアは、日本の朝鮮統治に関わる機関である統監府の属官、そして大蔵省の属官として始まりました。

朝鮮総督府時代

その後、須藤は統監府の書記官を経て、朝鮮総督府へと移籍します。朝鮮総督府は、1910年の韓国併合によって設置された日本の植民地統治機関です。ここで彼は事務官として働き始め、組織内で様々な役職を歴任していきました。具体的には、総督官房の土木課長、重要な諮問機関に関わる参事官、さらには営林庁長といったポストを経験しました。これらの役職は、植民地統治におけるインフラ整備や資源管理など、多岐にわたる行政分野の中核を担うものでした。

官僚としてのキャリアの中で、須藤は地方行政のトップも務めました。1926年（大正15年）には慶尚北道の知事に任命され、その職務にあたりました。さらに1929年（昭和4年）には、隣接する慶尚南道の知事へと転任しました。知事は、道内の行政全般を統括する重要なポストであり、統治政策の実行者として大きな責任を担っていました。須藤はこれら二つの主要な道で、地方行政の経験を積みました。

退官後の活動と晩年

朝鮮総督府の官僚としてのキャリアを終えた須藤は、故郷に近い地に戻ります。1933年（昭和8年）、彼は福島県の若松市（現在の会津若松市）の市長に就任しました。中央官僚から地方自治体の首長への転身は、当時のキャリアパスとしても特徴的なものでした。市長として、彼は若松市の市政運営に尽力しました。

若松市長を退任した後も、須藤は実業界に関わりました。具体的には、朝鮮無煙炭株式会社の監査役を務めました。この会社は恐らく朝鮮半島における石炭開発などに関わる企業であったと考えられます。このような活動を通して、彼は官界だけでなく、実業界にも関与しました。

須藤素は1962年（昭和37年）12月16日に亡くなりました。享年79歳でした。明治、大正、昭和という激動の時代を通じて、官僚、知事、そして地方の首長として、日本の近代化や植民地統治に関わる行政の要職を歴任した人物と言えます。

参考文献

• - 人事興信所編『人事興信録 第10版（上）』人事興信所、1934年
• - 人事興信所編『人事興信録 第14版（上）』人事興信所、1943年
• - 『福島県史 第22巻 (各論編 8 人物)』福島県、1972年

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