領域権原

領域権原の概念

領域権原（りょういきけんげん）とは、特定の地域における国家の主権を設定し、その行使を正当化するための根拠となる事実や法律を指します。この概念は、「領土権原」や「領有権原」、「領土取得権原」とも呼ばれ、国家が特定地域に対して主権を主張する際に重要な役割を果たします。

領域権原には、大きく分けて二つの取得方法があります。一つは原始取得、もう一つは承継取得です。原始取得は、無主地や新たに発見された地域を自国の領土として編入することを指し、承継取得は既存の他国の領域を譲り受けることを指します。

原始取得の詳細

無主地の概念

原始取得は、一般に他の国家に属さない地域、すなわち無主地を自国の領土に編入することに該当します。これには、先占（せんかん）と添付（てんぷ）の二つの方法があります。かつては、西欧の視点から、社会的・政治的な組織を持たない地域全てが無主地とみなされていましたが、近年では、首長を持つコミュニティが存在する場合、その地域は無主地とは見なされないという国際的な慣行が確立されました。

先占

先占は、無主地を実効的に支配することで領有の意思を示す手続きです。18世紀以降、西欧諸国による植民地拡張のための重要な手段として利用されました。ただし、単に無主地を発見したり、主権を宣言したりするだけでは不十分で、実際にその地域を管理し、支配することが求められます。1928年のパルマス島事件においては、スペインが島を発見したとしても、その領域権原が認められなかった事例があります。

添付

添付は、自然現象によって国の領域が拡大することを指します。例えば、河川の土砂が堆積することによって土地が増えるケースや、地域の埋め立てが含まれます。この概念は、古代ローマ法の附合理論に基づいています。

承継取得の詳細

承継取得は、他国の領域から主権の移転が行われる際の手法です。この方法には、譲渡や併合、征服が含まれます。

割譲と併合

割譲は、国同士の合意に基づき、他国の領土の一部を譲り受けることです。譲渡国は、譲受国の国民となる場合が一般的ですが、特別な条約があれば旧国籍を維持することも可能です。一方、併合は、他国の領域全体を合意のもとに受け入れることであり、この場合、被併合国は消滅し、住民は併合国の国籍を取得します。

征服と時効

征服は、武力を用いて他国の領域を自国に組み込む手法です。現在では国際法により武力行使が禁止されているため、現代においては正当な手段とはみなされません。時効については、長期間にわたり平穏な主権行使があった場合に領有権を主張できるという考え方があるものの、国際法の下で明確に認められるかどうかは議論の余地があります。

まとめ

領域権原は、国際法における領土主権の基盤を提供する重要な概念です。原始取得と承継取得の方法は、それぞれ異なる背景や条件を持ち、歴史的に国と地域の形成において重要な役割を果たしてきました。

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